プロローグ
11/14(火)投稿。こちら「ゼロの成り上がり」初投稿となります。続きが気になる方はブックマークして頂けると嬉しい限りです。
「これは……」
大きな協会の大きな魔法陣の上で老人が呟いた。視線の先では、1人の赤ん坊が寝かされている。老人とその周囲の驚愕した顔とは裏腹に、赤ん坊はすやすやと寝息を立て、気持ちよさそうに眠っている。
驚きが少しずつ冷めてきたのか、老人の周囲にいた人々から囁き声が聞こえ始めた。
「(ゼロ……?)」
「(ゼロってどういうことだ!?)」
「(ゼロ……見たことないぞ……?)」
人々が揃って口にするのは、「ゼロ」という単語である。人々の囁きが、みるみる内に大きくなっていき、それが最高潮に達したかと思われた時、魔法陣の上にいた老人が大きな声をあげる。
「静粛にするのじゃ!」
その大声と共に、人々に電撃が走ったかのように周囲が静まり返る。
そしてその沈黙の中、老人はもう一度赤ん坊に目を向ける。その額には「ゼロ」、すなわち「0」の数字が刻まれていた。
老人は冷静になるため、一度大きく息を吸い込み、そして吐き出す。
直後にこう言った。
「この子の名はゼロとする!これにて第31回授印式は終了じゃ。解散!」
こうして、ノカの村の第31回授印式は人々に多くの疑問を持たせたまま幕を引かれたのだった。これが全ての始まりだった事を知る者は少ない。
お読みいただきありがとうございました(*・ω・)*_ _)ペコリ