表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガラス細工の蝋  作者: 酒園 時歌
一章一節 《兄妹》
2/52

1.愛の宣誓

 これは、純粋に(よど)む愛をしたためた物語である。



 ――ボクは、愛するだけだよ。



 少女は語る。心を(かた)ることなく、真正面から証明する。


 疑うことなく慈愛の笑みで、ただただ愛を振り撒いていく。



 ――だって、愛することって、当然でありふれたことデショ。


 ――好きも嫌いも愛なんだよ。ほら、ストレスの捌け口として暴力を振るうのも捌け口として気に入っているからだし、愛玩用に愛でていても自分の思い通りにならなかったら暴力を振るうデショ。だったら、どっちにしても、相手を愛していることには変わり無いんだよ。


 ――関心は愛に直結する。ううん、関心を持つことそのものが愛なの。どんな行為も全部全部、愛があるからこそ行われるんだよ。


 ――それでね。反応も関心の内デショ? だから、反応することは、愛を返しているってことデショ。


 ――ねぇねぇ世界は無限なの。無限に回っているの。何かが起きれば別の何かが誘発されて、(めぐ)り廻って何らかの形で繰り返されるの。何かをすれば、形を変えてでもその人のところに戻ってくるの。


 ――ねぇだから、愛すれば愛されるってことだよね。


 ――ねぇだからボクに愛されて。ねぇだからボクに愛させて。


 ――そうすればアナタの関心がボクに向くから。アナタにボクは愛されるから。


 ――ねぇボクは愛されたら愛し返すよ。癒されるのなら癒し返すし、傷付けられるのなら傷付け返す。もちろん、憎まれたら憎み返すよ。



 ――――――だって、すべては愛じゃない!



 愛を欲する少女は、愛に満ち溢れていた。


 人々が自分の心を糧に『呪術』を扱う世の中で、人々の心の闇が『悪魔』を生むその中で。


 呪術師の少女は、純粋に澱む愛に、沈んだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ