表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【詩集】Shangri-La

まあるい気持ちになりたくて

作者: 野鶴善明

 三角形の気持ちは

 しんどいな

 とんがりすぎだから

 こねて もんで

 四角にして


 四角形の気持ちでも

 まだまだ

 角が痛いから

 こねて もんで

 五角にして


 五角形になっても

 やっぱり

 つらいものはつらい

 こねて もんで

 六角にして


 六角形の気持ちは

 ちくちく

 心を刺してしまう

 こねて もんで

 七角にして


 七角形の気持ちを

 眺めながら

 どうして

 丸くならないのかと

 首をひねってみる


 八角形になったものの

 理想にはほど遠い

 勉強が足りない

 修行が足りぬ

 ばかはばかなりに

 こつこつやれよと

 自分に言い聞かせて


 九角形で一休み

 額の汗を拭いてみる

 すこしはましになった

 だけど

 丸じゃない

 角はいらない

 丸がほしい

 冗談抜きで


 ええ加減にせいよと

 十角形を叱ったところで

 どうにもなりゃしない

 X角形が丸になるには

 命がけの飛躍がいる

 X角形をいくら

 こねたところで

 もんだところで

 X角形は

 X角形のままだから

 それはわかっているけれど


 十角形を

 こねまくって

 もみまくって

 百角形にした

 腕はしびれる

 めまいがする

 X角形と丸のあいだの

 深い谷を

 飛び越えるためには

 どうすればいい?


  山に満月

  空に桜風

  お月さんはいいな

  まあるくなれていいな

  欲があるからいけないんだ

  こころの角は欲

  欲はこころの角

  そんなあほなものを

  いつまでも抱えているから

  つらい思いをしてしまう

  痛いね

  情けないね


 百角形の気持ちを

 こねて こねて

 ひたすらこねる

 まあるい気持ちになりたい

 それも

 一つの欲だから

 忘れてしまったほうがいい

 もんで もんで

 ひたすらもむ

 

 千角形の気持ちを

 こねて もんで

 もんで こねて

 すこしつかれたら

 お月さまを眺めて

 こねて もんで

 もんで こねて

 うさぎの真似して

 跳ねてみて

 あした

 晴れるといいね

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ