表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/70

悪役令嬢、友人達に恋バナをせがまれる。

「銀の騎士とは、いつ知り合われたのだ?」

「白の王子様は年下の方とか? いったい、どんなロマンスがあったの? 教えなさいよね、バーバラ様!」


 あああ。

 どうしてこんな事になっちゃったのかな!?

 銀の騎士ことドエースも、白の王子ことプリティにしたって、そういう艶っぽい話じゃないのにな。


 ……まあ、若干、振り返ると……。

『君のイジワルそうな顔が、好みなんだよね』


『僕自身は君の事ちょっと気に入ってるってことで』


『君のような可愛らしいお嬢さんが、わざわざ傷つく事はないだろう』


 ドエースには、誘惑された事もあった気がしないでもないけれども。


「まあ、ホホホ。お父様も思うところがおありのようですし、わたくしが決める事ではありませんわ」

 丸テーブルを囲み、わたしはにっこりと、ひきつりそうになる頬を頑張って引き上げて笑うも。


「そ、そんなことはありません!! グスッ、バーバラ様は、自らの心に誠実にあられて、浮気男との縁談を蹴られたではぁ、ありませんかぁ!」

 おおっと。

 いつもは弱気なレーナ様が、ここにきて急に張り切られているよ。ちっちゃな手をバンバン叩きつけて、痛くないのかな?


「そうさ、バーバラ嬢、君らしくもない。君はその気高き心に従って、自身で選んだ方と添い遂げられて欲しいのだ」

 そう熱弁するのは、中性的な美貌の主。浮気症こそ発症していないものの、結社に狙われあわや婚約破棄の際に、『男なのか女なのか分からないような者など、このたおやかなビッチーナと比べたら天と地だ』 などと言われたミゼット様は、現在、若干男性不信気味である。


「そうよ、バーバラ様! あなたはわたくし達の希望の星なのだから、親の勝手などに負けないで欲しいの!!」

 浮気男に悩まされている、ツィスカ様も、ツインテールをぶんぶん振りながら強く言い募る。

「そう、そうですよぅ。わたくし達は恋愛結婚など無理ですがぁ……グスッ、バーバラ様ならぁ……!!」


 うう、お三方の期待のまなざしが辛いよ!?


 本当に、どうしてこんな事に。

 わたしがすっかり引きこもっていたこの一年の間も、盛んにお手紙や流行の詩集、お菓子のたぐいなどを送ってくれて、途切れることなく友情を暖めた、大事な友人達だ。


 みんなの期待には応えたいけど……無理かなあ。


 馬上デート……お母様の雷が怖くて、泣く泣く乗ったね。

 王子様との中庭デート……薔薇迷路に、迷子の救出に向かったね。


 うん、思い返してもロマンにはほど遠いね。


 ええー、本当にどうしよう!? 本気で困ったよ!!



 と、オロオロしていると。


 すごく聞き慣れた渋い声が、わたしの耳朶を打った。

「ご主人、なぜ我を呼ばぬ? 困った時こそ我を呼べばよいというのに」

 そう言って、耳打ちするように唇を寄せるのは、白いスーツに、ふわふわピンクブロンドの美少年だ。

 ……ぷ、ぷ、プリティ!! しかも大きいサイズで出てきちゃったー!!


 室内にはきゃあっと、明るい少女達の声が弾ける。


「ほ、本当に……グスッ、まるで王子様です!」

「噂は半分で聞いてたけど、ちょっと、本当に美少年じゃないの?」

「おおっ! 本当に天使のように愛らしい方だ! 白の王子と呼ばれるのも頷ける!」

 友人達のテンションは突き抜けんばかりだ……!


「だ、駄目に決まってるでしょ、家の人に見つかったらどうすればいいのよ!」

 わたしがひそひそと小声で窘めれば。

「うむ? 問題あるまい。我には秘策がある」

 ああ、うん、あったねそういえば。「よい子になーる」 の呪文で誤魔化せばいいんだよね。

 わたしへの追求はプリティへ興味が移って止んだし、聞かれて問題がある事はあんまりないし。

 ……あれ? 特に問題は、ない?


「何でも聞くがよい、バーバラ姉上の親友の方ならば、我は歓迎するぞ!」

 機嫌よく笑顔で振る舞い、プリティが大きくなった際に、一応作っておいた適当創作な出会いの話があるから、それを膨らましたりしながら、上手く友人らをあしらっている。

 おかげさまで、わたしはのんびりとお茶を飲めるというものだ。


「お名前は何と?」

「我が名か? ベリルである。バーバラ姉上とは遠い親戚筋になる」


「お二人の出会いは? ベリル様はバーバラ様をどう思っていて!?」

「うむ。親戚であるからな、身内の集まりの際に、お互い自然が好きということで、意気投合したのだ。姉上は……とても、大事な人だ」


 きゃー、と悲鳴が上がる。え、今ので何で喜びの声が上がるの?


「グスッ、普段はなにをされてますかぁ?」

「乗馬や狩りなどを嗜んでいる。カードやボードゲームも少々」


「普段はどの辺りのサロンに寄られますの?」

「我はまだ成人前ゆえな。もっぱら友人宅にしか行かぬが、確か……様の絵画鑑賞会や、……殿の詩の朗読会、……殿の弦楽演奏会などが素晴らしいとは聞いておりますな。ツィスカ様は絵画、レーナ様は詩集がお好きとか」


「ええ、絵は嫌いではなくてよ? まあ、でもそうね……様のコレクションはとっても素晴らしいのよね!」

「はっ、はいぃ、グスッ、そうなんですぅ。……殿は詩を読むのもお上手でぇ、ご本人も詩を書かれてぇ……」


「お二人とも実に素晴らしい御趣味でいらっしゃるな。我などまだまだ、外で遊んでばかりだ」


「そんな、恐縮なさらずともぉ」

「そうよ、これから色々学ぶんでしょ? これから励めばいいわ!」


「ふむ。……殿なら私の父が仲が良い。今度、招待状をいただけるか聞いてみようか?」

「我のような若輩では失礼になろうかと思われますが、お気持ちは有り難く。それよりミゼット様は、乗馬を嗜んでおられるとか?」

「おお、そうなのですよ! 最近はいろいろあって遠乗りには出かけられませんが……」


 ……し、知らなかった。結構話が上手いんだなぁ、プリティって。

 一応、貴族の標準を狙って背景は作っておいたけど、細かいところまではフォローしなかったのに。

 なんて、感心していたら。


「……という事で、これからもご主じ、いやバーバラ姉上を、皆様にどうか支えて頂きたい」

「分かっているとも!」

「ええ、任せなさい!」

「グスッ、もちろんですぅ」


 おやあ?


「いいかい、バーバラ嬢。独りで悩んでは駄目だ! 銀の騎士とやらは相当悪い奴のようではないか!」

「口の上手い男なんてダメよ、絶対! あの浮気男みたいに、そこいらに女を作って回るのよ!!」

「そうですぅ、グスッ、ダメダメですぅ」


 なぜか、選挙活動のごとくにプリティが皆の心得おまとめて、ドエースから引き離すような流れが出来ていた。

 いや、そもそもわたしと彼は何でもないよ?


 なにが起こったのかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ