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悪役令嬢、判定を受ける。

 ……わたしをこの創作世界に投げ込んだ張本「神」 が、オタクだった。

 とかいう衝撃なんだか脱力なんだか分からない事実が判明した、その翌々週。


 色々とわたしが出来る事が終わったので、魔法少女活動の方に力を入れてました。

「ご主人! パワーを! セーブ! しろと言うに!!」

 こうして魔王系マスコットに力を注いだりして。

 ヒロイン怪人に狙われた婚約者の令息や、お友達である悪役令嬢たちの救出と、モンスター退治も、ちゃんとやってますよ。はい。




 そしてとうとう。

 茶会のプロであるお母様様から、茶会準備のチェックが入る事になりました。

「……き、気が重いよぉ」

 しくしくと痛む胃を押さえつつ、リフォームされたばかりの部屋の入り口で専属メイドと共にわたしはお母様を待っていた。


 さっき軽く覗いたけど、御用職人達に頼んだだけあって満足する出来だったわ。

 内装の殆どは昔からつきあいのある職人にお願いしたけど、天使の装飾類だけは、わたしの好みでお願いしたわ。

 新進気鋭の彫刻家にお願いしただけあって、可愛い天使が一杯使われてるのよ。

 ……わたしがリアルすぎる造形が苦手なんで、執事にお願いして、デフォルメまではいかないけど、可愛らしい造形の天使を作る人を探して貰ってね、新しい人と契約したの。

 これでわたしも、パトロンってやつになったよ。芸術家を囲って資金援助するのも、貴族の権威づけの一つらしい……ね? よく分からないけど。


 それで、天使系の作品を多く作ってた工房の既存作品を沢山買い取って、お部屋の要所要所に、装飾として並べたというわけ。




 そして、満を持してお母様が登場。昨日は夜会だったから、お昼まで寝て過ごしていらしたらしいお母様は、無駄な色気を振りまいてるわ。……まだ眠いのかしらね。

 今日も深紅のドレスがよく似合って魅力的よ。


「わたくし、今日を楽しみにしていたのよ、バーバラさん。貴女の選んだお部屋を早速見せて貰うわね」

「そ、それは……ありがとうございます、お母様」

 そんな事を言われたら、余計に緊張しますよ、お母様。


 ……はあ、ドキドキするよー。

 


 わたしの専属メイドが、扉を開ける。

 お母様は入り口で足を止め、そのきつい眼差しを部屋内に向けた。……出来れば、その目は悪役顔な為に自然となったという事にしておいて欲しいな。

 満足いくまで中を眺めたら、今度はお気に入りの侍女を連れてゆっくりとお部屋の中をひと巡り。


「この天使の像は、バーバラさんが気に入って揃えたそうね?」

 途中で足を止め、お母様は鋭い目をわたしに向けた。

「ひゃいっ、そうです!」

 声がうわずったのは緊張のせいだよ。怖いからじゃないよ。


「なにかしら、丸みがあって……可愛らしい、わね? わたくし嫌いでなくてよ」

 そう言って、わずかに目元を緩ませる。

 よ、よかったセーフだよー。装飾品は一番の心配どころだったから、ダメだしされたらどうしようかと思った。

 わたしはほっと息を吐く。


「室内も、程良く統一感があって良いのではなくて。貴女の指導も良かったのかしらね」

 そう言ってお気に入りの侍女……ビネー婦人を振り返る。

「光栄に存じます、奥様」

 美しい所作で礼をし、ビネー婦人は微笑む。

 わたしも、かなり助けて貰ったしね、彼女には感謝だよ。


 後は、茶葉や茶器、陶磁器などをチェックするのだけれど、もともと家にあったものからセレクトしたからね。部屋程には怖くないよ!


 よーし、この調子でお母様から合格を貰うぞ!




「はー、良かった! 特にダメだしもなくチェック完了だよー」

 緊張の時間が過ぎ、わたしは自室のリビングでくつろいでいた。

 リラックスの為にカモミールに似たハーブティを淹れて貰い、椅子の背もたれにぐったりと身体を預ける。


「お疲れだな、ご主人よ」

「うん、でもお母様から合格も頂いたしね。後は再来週の本番を待つばかり……あ」

 もふもふとプリティを撫でて心を癒していると、ある事に気づいた。

 毎日のように力を注いでたからかな? 何となく、魔王系マスコットの額にちょこんと飾りのようにある、赤い宝石の色が、濃くなったような……?

「ねえ、プリティ。何だか額の宝石の色が……」

 わたしが、それをまんまる生物に告げると。


「これは良い。ご主人の力が我の中で漲っている証拠だ。もうじき我もパワーアップ出来るだろう」

 テーブルの上で、腕組みして渋い声で答えるプリティ。

「え、そうなの!?」

 これは嬉しいニュースだ! これでプリティに送迎能力が付いたら、お母様のお叱りからも解放されるよ!

「やったじゃない、プリティ!」

「うむ! ご主人のお陰だ」


 これで、憂鬱なお茶会も何とか乗り切れるかも!

 どんだけお母様が怖いんだって話だけど、だって死活問題だし。

 無断外出で大目玉食らって、今度こそ牢屋みたいな反省部屋に閉じこめられるかもって思ったらさ。

 お母様のお怒りはわたしの生活にダイレクトに響くんだもん、本当に怖いんだよー。


 はー、一つだけだけど、問題が解決しそう。

 ……いやまあ、敵情視察に来るというご婦人達の視線が怖いのは変わらないんだけどね……。


「よーし、本番も頑張るぞ! プリティも、早くパワーアップ出来るように頑張ってね!」

「うむ! ご主人に格好いいと言われる我になるのだ」

 だから、そのぬいぐるみボディで胸張っても可愛いだけだってば。

「そうだね、お互い頑張ろうね!」


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