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♪3.敵視

 ホームルーム終了を告げるチャイムがなる。それと同時に隣の席の女子──九条 楓桜が席を立った。

 気持ちは分からなくもない。突然、死んだ恋人と全く同じ顔のやつが現れたら動揺するのも当たり前だ。そしてもう一つ。

「楓桜たん♪」

ああいうやつに捕まるからだ。

 彼女は席の交換を言ってきた女子に冷静に対応し教室を出る。彼女の去った教室では、残された女子達の言い合いが勃発し始めた。

 ふと、一人の男子生徒が教室を出て行ったことに気付く。あいつは覚えてる。確か赤城 龍って名前のやつだ。少し気になって後についていく。

 すると教室を出てすぐのところに二人はいた。俺はドアに寄りかかり様子を見る。

 そこには赤城が九条の腕を掴んでいる姿があった。

「……なに?」

「いや! あの、えっと……」

赤城はパッと手を放し、言葉を選んでいるのか言い淀んでいる。

(まさか……)

彼は少し大きめの声で言った。


「オレと、友達になってくれませんかっ?!」


思わずため息が出る。

「……いいよ」

九条は小さく頷いてそう返した。

「よっしゃぁぁああ……!! ありがとっ!」

赤城はまるで告白が成功したかのように大喜びをしている。

 時計に目をやると、もうすぐで一時間目の授業が始まろうとしていた。俺は自分の席に戻りながら思う。

(あいつ……好きなんだな)

すぐにわかった。あそこまで挙動不審なんだ。それに友達になるためにあそこまで必死になるのも珍しいだろう。わからないほうがおかしい。


 一時間目開始のチャイムが鳴り、戻ってきた二人を見る。酷い温度差だ。喜んでいる赤城に対して九条は何事もなかったかのような冷静ぶりだ。……もしかしたら彼の気持ちに気づいていなのかも知れない。

(……何気にしてるんだ、俺は)

思わず自分に呆れる。その時担任が教室に入ってきた。

 一時間目では委員会について決めるらしい。まず最初に委員会についての説明をされ、各委員会男女一人ずつが委員となるために先に第一希望を聞いていくことになった。着々と進んでいく中、図書委員会の番がくる。

「次、図書委員会。まず女子」

その声に手を挙げたのは九条一人だけだった。どうやら図書委員会はあまり好評ではないらしい。

「九条だけか? じゃあ決まりだな」

黒板の図書委員会の欄に彼女の名前が書かれる。

「次、男子」

俺は手を挙げた。すると教室がざわめきだす。

「え、ちょっと。なんであの二人?」

(……二人?)

その言葉に周りを見渡せばもう一人、手を挙げているやつがいた。そいつと目が合う。――赤城だ。

「…………」

「…………」

なぜかあいつの目は俺を敵視していた。

 俺はため息をつく。ただラクなほうを選んだだけだった。ここで選ばなければこの先逃げ場がないからだ。休み時間や放課後に自分の時間を取られないようにするため。――この時はそう思ったのだけど。

 心の奥底にある黒い感情が何だったのか、その時の俺はわからなかった。思わず手を挙げてしまった自分に、そう理由づけるしかなかったんだ。




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