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ナルルは異世界を旅します。ぶい。  作者: 鬼京雅
地獄ワールド編です
5/38

猫屋敷に入ります。猫だらけですねぇ。

 閻魔大王別荘改め、猫屋敷での戦いです。

 猫屋敷の玄関に入りました。

 そこは広いエントランスですが、相変わらず猫がいます。

 ミルキーの魔法でパワーアップする猫達は一斉に口からビームを放ちました。


「建物も壊れますよ……やれやれ」


 それを全て同じエネルギーをぶつけて消滅させます。

 スゲー! と口をポカーン……と開けながらジュニアは私を褒めていますが、このジュニアはさっきから役に立っていません。

 そして、ジュニアのリュックにあるまたたびを外に投げつけその猫達を誘導しました。

 その一瞬の隙をついて睡眠魔法をかけます。


「スリーピングシープ」


『ZZZ……』


 スコーン……と魔法で強化された猫達は眠ります。

 するとジュニアがすかさず動きます。


「よし、外に出しておこう。起きたらまた襲って来るだろうし!」


 そして眠る猫を外に出し終わると、二階へ上がりました。

 通路の先では緑の蠢く何かが視界に入ります。

 猫じゃらしですね。

 これは確かに気になります。

 でも、罠ですよね。

 ジュニアは阿呆なのでズンズン進みますが、私はゆっくりと歩いて逃げます。


「ん?」


 ねこじゃらしではない一角が爆発しました。

 それを魔法防壁でガードします。

 ジュニアは猫じゃらしと戯れています。


「あれ? 普通ならねこじゃらしが罠なのに……裏の裏の、そのまた裏という事ですか。そうですか……?」


「痛てー!」


 ジュニアはねこじゃらしに仕込まれた蛇に噛まれる罠にかかりお尻を抑えています。

 そして私はそのジュニアがミルキーとの戦闘に耐えられるレベルではないと思い言います。


「ここまで来れば私が何とかしときますから、閻魔大王に赤髪魔法少女ミルキーを超絶美少女のナルルが倒したと報告してきて下さい」


「そうか……確かに足手まといかもしれねーかも。それでも行くぜ。俺は親父を超える閻魔大王になるからだ!」


「いい意気込みですね。ならば行きましょう。敵はもうすぐ倒れます」


「誰が倒れるですってー!」


 瞬間、実在する黒猫の口に身体をミニマムで小さくして隠れていたミルキーがジュニアに襲いかかりました。それを一瞬遅れて私がガードします。


「まさか、そんな手で来るとは。流石に驚きましたよ」


「ホントにそうかしら? でもアンタ凄いわよ。この奇襲をガードしたのは今までアンタ一人よ。でも、すぐに死ぬけどね」


「それはどうでしょう? 私、最強ですから」


 イラッとしたミルキーは冷たく言います。


「アンタが最強でも、こっちの小僧は最強じゃないわよ」


「! ジュニア避けて。いや、無理か」


 その黒猫にジュニアは噛まれました。

 無駄にわめきながらジャンプしてます。

 たいした怪我でもないのでその隙に、氷結魔法でミルキーの動きを封じます。


「氷よコンコン」


「おっと! 危ない、危ない。地の利を生かさせてもらうわよ」


「逃げるのですか?」


「地の利を生かすと言ったはずよ。無表情な魔法少女さん」


「無表情ではありません。感情が他人に伝わりにくいだけです」


 そう言ってる間に、ジュニアは様々な猫に取り囲まれました。

 それを全て眠らせようとしますが、ジュニアは手で静止します。


「手は出さないでくれ。魔力でパワーアップする猫を怪我をさせずに大人しくさせる。それが出来たらナルルを助けに行くぜ」


「期待せずにいましょう。では後で」


 私はジュニアを残し、ミルキーの後を追います。

 ズババッ! と疾風魔法で振り返りながら私を攻撃して来ます。

 温い風ですね。


「この猫屋敷内部でアタシには勝てないわよ!」


「そうですか。ま、勝ちますけど」


 ズバババッ! と魔力の攻防があります。

 しかし、絶対的に私の魔力の方が優っている為にミルキーには勝ち目がありません。

 壁に追い詰められるミルキーは呟きました。


「そろそろね……」


「そろそろ、終わりますよ」


 私は一気に終わらせる為にぶいサインに特大の魔力を込めました。

 その刹那――。


「フンガー!」


 突如、閻魔大王が奇襲をかけて来ました。

 あーれーとその大きな手に掴まれてしまいます。


「……どうやら閻魔大王に暗示か何かをかけましたね? 正気の目ではありません」


「そーだよ、そーだよ、ソースだよ! もしもの時に閻魔大王を操れるように魔法で仕組んでおいたのよ。これで形勢逆転。輪廻は巡れずにアンタは死ぬのよ!」


「それは困りますね。まだやり残した事は沢山あります」


「でも、閻魔大王のパワーから逃れるには閻魔大王を傷付けないといけないでしょ? それが出来るの? 中途半端に人を傷付けて倒さないアンタにね」


「私は必要であれば人を殺しますよ? この世に絶対悪は存在します。今まで指で数えるぐらいの絶対悪は殺して排除しました。私は世界の安定の為なら非情になりきれるので」


「へぇ、なら見せてよ。今すぐ。でなきゃそのまま成長しないペチャパイごと潰されて死ぬだけよ」


「そうですね。ジュニアには悪いですが、プラネットスフィアの為に閻魔大王を少し傷付けてしまいます。ごめんなさい」


 私はスオオオッ……と白銀の魔力を開放します。


「ん? これは……」


 私の白銀の魔力が突如発生する赤い魔力に融合し出しました。

 あー、罠ですね。

 やられました。


「引っかかったわね! その魔力の開放が閻魔大王に仕組んだ魔力と融合して爆破するの! 消えなさいナルルーーー!」


 閻魔大王のパワーから逃れられないので魔力爆発から逃げられません。

 このままでは私も閻魔大王も病院送りですね。

 まぁ、病院に入院してもいいのですが、お見舞いの人が来ないな……と思いフルーツの盛り合わせが食べられないので諦めました。白銀の魔力を全開にして、金色の力を目覚めさせます。


「ナルル。ハイパーモードSASHサッシュ……」


 瞬間、逃げようの無い爆発から逃れられない私はハイパーモードでこの危機を脱しようと思いますが、一つの声がそれを引き止めます。

 それは、この地獄を司る閻魔大王の世継ぎの少年の正義の声でした。


「正気に戻れ親父ーっ!」


 勢い良くジュニアが助けに来ました。

 しょぼいタックルですが、ミルキーがかけた魔法が解除されるほど閻魔大王にはショックだったようで一瞬だけ力が弱まります。

 その隙をついて私は脱出しました。


「ぶい」


 と、閻魔大王に水流魔法で頭から水をかけます。

 すると、完全に閻魔大王は正気に戻りました。


「……ワシがジュニアに逆らわれるとはな。それにパワー負けしてバランスさえ崩すとは。地獄を司る閻魔大王として、たるんでおったのかもしれん」


「親父……」


 もう、閻魔大王も問題無いでしょう。

 この親子の事は自分達に任せて、私はミルキーとの最後の戦いに望みます。


「亡者の池にアンタを沈めてやるわよ!」


「そーですか。本当に最後の勝負ですよミルキー」


 別荘から脱出したミルキーを追いかけ亡者の池へ向かいます。

 少しづつ雨が降り出し、赤い雨が私の魔法少女服を重くします。

 えっさ、ほいさと左右から飛び出るマグマを回避して走っていると、地獄の地下である亡者の池に辿り着きました。そこには古い一本橋があり、その下に池に半分身体を突っ込んでいる亡者達が蠢いています。


「ウジ虫のように蠢いていますね。ミルキー、お友達が誘っていますよ?」


「友達じゃないわよ! バカ!」


「そうですか。貴女にはお似合いよ友達なのに」


「お似合いなのはアンタのそのボロボロの服よ!」


「あれれ?」


 何故か私の魔法少女服がボロボロになっています。

 白い布が服の形を保っておらず、白い下着が見えてしまっています。

 これでは風邪を引いてしまいますね。

 やれやれ。

 そして、空から降る赤い雨を見上げます。


「……まさかこの雨は?」


「そう、服が溶ける酸性雨よ!」


「そうですか。雨対策だけはしていたのですが、貴女の服はあらかじめ魔法でコーティングしているのですね。ずるいです。なので早く捕まえますよ」


「そうは行くもんですか! 魔力最大最高出力! デスボール・ダ・ニャー!」


 ミルキーは極大の火炎魔法を放ちました。

 すごいですねー。

 ボワーっとしてキレイですよ。

 古い一本橋は左右に逃げ場が無いので弾くしかありません。


「てりゃー」


「今の一撃を弾いたの!?」


「弾きました……あれ?」


 炎の一部が橋に燃え移りました。

 ふぅ、困ったものです。


「とうっ」


「うげぇ! ちょ、パンツに捕まるなー」


 ガッ! と猫ちゃんパンツにつかまりミルキーを亡者が蠢く池に落としました。

 私は橋にしがみつきます。


「……これで決着がついたら呆気ないですね」


 まぁ、下の連中では彼女の魔法防壁の前に触れる事も叶わないでしょう。

 それでも、しっかりノーパンが見られてしまいますが。


「あれ、この猫プリントパンツは?」


 ミルキーのパンツにつかまった時に腕にからまったようですね。

 とりあえずこのパンツは捨てます。

 何かシミがあって匂うし。

 すると、亡者を蹴散らしたミルキーは叫びます。


「捨てるんじゃないわよー!」


「服が溶けたら魔法拘束が弱くなりSASHサッシュが発動するので早めに倒します。貴女には本気でかかる必要があるようですね」


「アタシは負けられない。悪いけど邪魔するなら死んでもらうわ。ここなら誰もいないから全力を出せる……最終決戦よナルル」


 どうやら猫達のいる館から離れたかったようです。

 ここならば他者を巻き込む事はありません。

 亡者達はもう沈みましたし、邪魔者はいません。

 超絶な魔力を発するミルキーは叫びます。


「攻撃魔法じゃ、負けられないのよー!」


「大きな理由があるのはわかります。でも、私にも理由があります。貴女の望む戦いに勝ち、私を認めてもらいます」


「うっさいわよーーー!」


 二人の魔法の激突は凄まじい威力です。

 そして、ミルキーは最後の魔法詠唱を始めます。


「メギドラ・ダ・ニャ-ルラトホテプで終わらせる。この地獄を終わらせる死の炎よ!」


「それではこの一帯が消えますね。私も本気で行きましょう」


 白銀の魔力が私を包みます。

 先にミルキーの猫の顔をした死の炎が放たれました。


「メギドラ・ダ・ニャ-ルラトホテプ!」


「えいえいえい、やーやーやー、とーとーとー、ちっちっちっ」


 二人の本気の一撃が放たれます。

 激しい衝突の後、威力で勝る私の一撃が勝利します。

 そしてミルキーに死が迫ります。

 すると、ミルキーは不思議な事を言います。


「……ミ、ミルキー!」


「ミルキーとは貴女の事でしょう?」


「!?」


 私はその魔法エネルギーを消滅させました。

 なのでミルキーは生きてます。


「オシッコちびってますよ。早く地上へ降りて来て下さい」


「……へ? あぁ? オシッコでパンツがぁ! ってパンツはいてないわー!」


 地面にへたり、ミルキーは敗北を認めました。

 勝利のぶいです。

 ぶい。





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