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ナルルは異世界を旅します。ぶい。  作者: 鬼京雅
仮面ワールド編です。
36/38

シズカの傘の話です。番外編ですね。

 ンゴンゴ。仮面王国メイドのシズカです。

 今日はやけに雨が降っていますね。

 わたしは部屋のお掃除の仕事を任されているので、基本的には外にはあまり出ません。

 そんなわたしにもお気に入りの傘はあります。

 非番の日は基本的に無いので傘の出番は少ないです。

 たまに清掃用具の買い出しに行く時に出るぐらいですね。


 それはそうと、今日のお掃除中にホウキが燃えてしまいました!

 コッソリと火炎魔法でゴキブリを退治しようとしてたら、引火してしまったのです……。

 こうなっては今日は雨ですが買い物に行くしかありません。

 わたしは自室の押入れにある虹色の傘を手に取ります。


「二ヶ月ぶりの出番ですよ。私のお気に入りの傘」


 わたしは傘をさしてルンルン気分で仮面王国宮殿を出ました。

 久しぶりの城下町は色々と緊張しますね。

 女王様の命によりみんなが仮面を取り国が変わったばかりなので、素顔でいるのが恥ずかしいです。

 パン屋さんが実は女の店長だったとか、薬売りのおじさんは意外に若い青年だったとかの新しい発見があります。人は声質だけではわかりませんね。

 そして、道具屋でホウキを買いました。

 領収書を貰って私は虹色の傘を開きます。

 空は雨が降っていますが、わたしの所だけは虹が浮かんでいるようです。


「……何か楽しいな」


 わたしは虹色の傘をクルクルと回します。

 みんなの素顔が見える事で、わたしは普段より浮かれています。

 ズンズンと知らない場所まで足を伸ばして行きます。

 すると、空き家の軒下で雨宿りをしている少女を見つけました。


「迷子? いや、ただの雨宿り……けど、あれじゃ風邪を引いてしまう。どうすれば……」


 わたしは決意しました。

 傘を無くした少女に渡し、走り去りました。

 わたしは王国のメイドなのです。

 王国は国民の税で運営される以上、次世代を担う子供にも元気で育ってくれなければなりません。

 傘はまた買えばいいのです。

 そして、ずぶ濡れで街を彷徨う事になりました。

 仮面王国のメイドがこんな状態では笑われてしまいます。


「あれ? ここどこ……?」


 あれ? おかしいな……うかれ過ぎて来た道がわからなくなりました。

 わたしの気持ちは空の雲のように暗くなります。

 だけど、それはすぐに虹色の声がかき消してくれました!


『おーい、シズカー!』


 ナルル達がお迎えに来ました。

 わたしにはもう友達がいます。

 一人ではありません。

 わたしは笑って、ナルル達に抱きつきました。

 わたしはお金で買えない物を手に入れました。

 やがて雨は止み、仮面王国には虹がかかりました。

 師匠と同じくぶい!


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