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ナルルは異世界を旅します。ぶい。  作者: 鬼京雅
仮面ワールド編です。
30/38

女王の部屋です。

 ちなみにシズカは怪力です。

 日本の皆さんに分かりやすく言うと、東京ドーム一個分を一人で一日で掃除するパワーの持ち主であります。シズカは片手で百キロぐらいなら楽に持ち上げます。まぁ怖い。

 その上を行くような強さの女王は武舞台で躍動しています。


「……なるほど、なるほど」


「ンゴンゴ、ンゴンゴ」


「シズカ。寝ないでください」


「え! もう朝!?」


「お昼です」


 私は圧倒的な女王の動きに注目します。

 まるで五十近い女の動きではありません。


「魔力も使ってないのに動きに衰えが無い。おかしいですね。達人としか呼べない動きです」


 あの鬼仮面の時は戦闘モードのようです。

 女王は常に数枚の仮面も持っているようです。


「仮面によって変わる強さ……ですか。ではシズカ行きますよ」


「え? 本当に?」


「行きます」


「ンゴー」





 私達は女王の間に侵入しました。

 シズカの清掃の仕事が運良く月一の女王の間の清掃になる日だったのです。

 私はぐるぐると女王の部屋を探索します。

 どれも高級そうな品物の家具が置かれていますが、私の指は一つの部屋を見つけノブに手をかけます。


「女王の間のワリにノブに埃が溜まってますね。何ででしょう?」


「そこはわたしも掃除しないからね。女王様は入れてくれないから」


「そうですか。ベッドは使っているようですが、他の場所はほとんど使用してないようですね。女王自身が集めた物を使わないというのはどういう事でしょう?」


「わたしも細かい事はわからない。女王はこの仮面を国民全員に強制して舞踏会を武道会にしてから完全におかしくなったから。それが原因なのかもしれない」


「心境の変化……という奴ですね。温厚な女王が戦闘に明け暮れるようになったのは何か大きなキッカケ……前の戦争以上の何かがあるはず」


「確かにそうだね。でも、この仮面のおかげでこの国は守られてる。仮面の抑圧された力が人間の眠る力を呼び覚ましているようだよ。だからこの国の人間は特殊な強さを持ってるの」


「そうですか。色々と教えてくれてありがとう」


「あ! 喋っちゃった! あー! 大変だ! 大変だ!」


 シズカのついうっかり口を滑らせる癖で私はこの国の人間の力の源を知ります。

 あの仮面はやはり魔力が込められた仮面というのがわかりました。

 そして、その仮面は明らかに強き者を生み出す道具になっているという事も――。

 そのさなか、私はやけに表面のガラスが綺麗な一枚の写真立てを見つけました。


「これは……」


 埃にまみれていない写真に写る昔の女王の姿があります。

 気品のある美人で、何故この国を仮面王国にしたのか理解しかねる笑顔を見せていました。

 掃除をしようにも、掃除をしたら侵入した事がバレてしまう為に何も出来ずもがいているシズカは過去を懐かしみ納得します。


「ンゴンゴ。女王様は素敵でし」


「こっちにはアルバムがありますね。見てみましょう」


「アルバム? 見たいでし!」


 顔を密着させてくるシズカにやや押されながら私は女王のアルバムを見ます。

 このシズカの肌はやけにツヤツヤですね。

 これが若さですか。

 まぁ、私も少女ですけどね。


「……これは家族の写真ですね。この、剣を持った子供は?」


「娘だよ。女王には一人娘がいたの。でも戦争の時に行方不明になったでしな」


「行方不明……」


 女の子供なのにまるで戦士のように剣を持つ少女に私は何か引っかかりました。

 すると外の通路でコツコツと足音がします。


「さて、逃げますよシズカ。えいえい」


「わたしのホウキ!」


「ちょっと改良しました。では行きましょう」


 シズカのホウキに魔法をかけて飛べるようにしました。

 そして窓から飛び降り、乗ります。

 自室に入る仮面をつけた女王は写真立ての女王の写真を見てから、その仮面を外しました。





 私の仮面武道会初戦を迎えました。

 会場はいたって静かです。

 観客の全員が仮面をしているせいか、雰囲気そのものが重く、重くのしかかってきます。

 叫んではいけないルールはありませんが、普段から仮面で顔を見せない生活をする事により感情の起伏を抑える術を心得ていてよほどの事が無い限りここでも大きな反応はしないようです。ならば私がそのよほどな事を起こして見せましょう。ぶい。


「さて、武舞台に上がりますか」


 いつもの魔法少女服に一本のサーベルを腰に差した私の初戦が始まります。

 魔法は使ってはいけないので、魔法剣士ではありませんね。

 パワー的なものが心配ですが、まぁSASHを使わないように上手くやりますよ。

 相手は剛腕剣士ピグドラです。

 元女王の専属騎士らしく、老騎士ながらまだまだ動きは早いらしいです。

 あまり無理をされても困りますが。

 ズシズシと重い甲冑の音を立てて歩いて来ます。

 まるで戦場のような殺気ですね。

 互いの剣技を競う武道大会なのにピリピリしてますね。

 これは戦争ですか?


「わさかこのワシの初戦がこんな小娘とは。これでは女王までの肩慣らしとはいかんな」


「相手を外見で判断するのは弱き者がする事です。今までの経験でわかりませんか?」


「確かに外見が弱そうだと思ったが実際は強いというのは多々あった。しかし、それをワシは勝ち続けたからな。事実はワシの言う通り、弱かったという事だ」


「……ならば私がこの剣によって修正してあげましょう。貴方の思考回路を」


 すると、無口でボーッとしているイシコ審判は試合開始の合図を出しました。


「仮面武道大会第一試合を開始します。スタート」


 観客の声もろくに上がらない武道大会が始まりました。

 盛り上がりにかけますねぇ……と、言ってる場合ではありませんでした。

 鋭い剣が私をかすめます。


「おっとっと」


「ワシの一撃をかわした? ちょこまかと動く小娘だな」


「まぁ、女王と戦うのは私ですからね。肩慣らしさせてもらいますよ。貴方で」


「……大義無き小娘がぁ!」


 シュパッ! と下段からピグドラの一撃が迫ります。

 それを回避してピグドラの兜をサーベルで吹き飛ばしました。

 一瞬の出来事ですが、観客達からは興奮の吐息が漏れます。


「……ワシの一撃を回避してから兜を吹き飛ばすか。認めよう。お前は強い。今の女王並の強さだ」


「それはどうも。でもまだまだですね。鉄に鉄をぶつけると思ったほど威力がありません。貴方のようにこの石の舞台を切れるぐらいの腕力はありませんのでタイミングが重要ですね」


 私はピグドラが切った地面を見て言います。兜を場外に蹴るピグドラは、


「戦士にとって大事なのは腕力よりも相手を倒すタイミングを感覚的にわかる事。これは持って生まれた才能。それを研ぎ澄ますには身体を鍛えるしかない。仮面をつけた女王のようにな」


 そして、私は一つの事実を知ります。


「女王の強さはあの仮面をつけてから強くなったのですね?」


「そうじゃ、女王は変わられてしまった。あの仮面こそが諸悪の根源かもしれん」


「なるほど、なるほど」


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