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ナルルは異世界を旅します。ぶい。  作者: 鬼京雅
監獄ワールド編です
23/38

サクテルと同盟を組みます。馬面同盟ではありません。

 熱風と冷風が交互に空間を流れ、私とメイズの肌を刺激します。

 暑い熱気に緑の髪を揺らすメイズは言います。


「さて、この熱と冷気の煉獄もいいけど、もっと素敵な空間に案内してあげるわ」


「それはありがたいですね。この空間は暑さと寒さのコンボで辛いので」


「そこまで辛そうには見えないけどね。貴女はそんな簡単に疲れるタマじゃないだろうし」


「疲れはしませんけど、無駄な汗はかきたくないので。美少女はいつでも美しくなければいけないのです。貴女と違って」


「ハァ!? 私の方がどー見ても美少女でしょうが! この白髪女!」


「白髪ではありません。手入れの行き届いたキューティクルが輝く白髪です。ヘドロのような緑の髪と一緒にしないで下さい」


「誰がヘドロだ! なら私の空間に案内してあげるわーグリーンフォレスト」


 ニョキニョキニョキ……と周囲に樹々が生え、一気に深緑の空間に変貌します。

 ここまで一つの空間を再現されると困りますね。

 相手の作り出した自由な場所で戦うのは、蜘蛛の巣にかかった蝶々ぐらいの絶望感があります……が、私は無敵なので気持ちいい自然の空間でしかありません。


「いい空気ですね。久しぶりに良い空気を吸って気持ちいいです」


「あーら、そう? ならたっぷり吸いなさい。この魔法は結構魔力を消費するんだから」


「では遠慮なく」


 すーはーすーはーと、大きく深呼吸をしました。

 全身に新鮮な酸素が行き渡り、気分も良くなります。

 さて、やりますか。


「えいえいえい、やーやーやー、とーとーとー、ちっちっち」


 火炎、氷結、電撃、爆破系の美少女無双コンボを叩き込みます。

 しかし、その爆炎の中には誰も見当たりません。

 伸びる植物に背中を押され私の背後に現れるメイズは言います。


「残念だけど当たらないわよ。この空間は私に都合が良い場所なんだから」


「そのようですね。この空間全体が貴女をサポートしてくれるなら貴女は無敵かもしれません。私が存在しなければ」


「その減らず口ももうすぐ吐けなくなるわよ。このグリーンフォレストの素晴らしさに騙されない事ね」


「はい。わかりましたー」


 シュン! と私はメイズに特攻します。

 魔法が当たらないならまずは接近戦で崩すのみです。

 追いすがる私に対しメイズは左右にステップを踏み揺さぶりをかけて来ました。


「残念。残像です」


 メイズの真下に現れた私はショーナル拳をかまします。

 昇るナルルの拳でショーナル拳です。

 これをくらった敵はアゴが外れ、意識を失います。


「あれ?」


「残像でもいいのよ。既に貴女は私の術中にはまってるんだから」


 完全に決まったはずのショーナル拳が効いていません。

 拳には力が入らず、全身にシビルれるような不快感があります。

 そうですか……確かに自分に有利な空間ならば何でも出来ますね。

 何気無く吸う空気にさえも――。


「なるほど、なるほど。空気に神経性の毒を混ぜていたのですね」


「毒じゃないわよ。人間の安らぎを感じさせる深緑の効果を強烈に感じさせるグリーンファンタジー。もうお眠の時間よ」


 私はフラフラとして頭が混乱します。

 その隙をつきメイズは必殺技を使います。


「トドメと行くわ。グリーンリバーライトニング!」


 深緑の聖なる光にて相手を消滅させるグリーンリバーライトニングを使います。

 とりあえず私は混乱してますが逃げなければなりません。

 千鳥足で駆けると、誰か衝突しました。


「痛いですね……こんな場所に誰が……」


「ヒヒッ! サクテル様のお通りよ!」


「本当に空気が読めませんね。来るなら私とぶつからないで下さい」


 そんなこんなで影縫いのサクテルが来ました。

 馬面が来たとなると、上手くメイズを任せて逃げようかなとも思いますが、そうも行きませんでした。





 ヒヒッ! と言うサクテルとメイズと私の三竦みになります。

 でも、サクテルはメイズに対して姉を殺された恨みがあるので、どうにか仲間に引き込みます。


「サクテル、サクテル。ここは共同戦線と行きましょう。あの女は貴女の姉の仇でしょう?」


「そうね。まずはメイズを倒すわ。私のサポートをしてくれるなら協力してもいいわよ」


「ではメイズを倒す為に頑張りましょう」


 そしてサクテルと共同戦線を張る事にしました。

 プンスカ!と怒るメイズは緑の髪を振り乱し言います。


「案外チキンなのねナルル! 輪廻の少女が聞いて呆れるわ! 所詮ロリババアだね!」


「はぁ? バカですねメイズ。ハゲでるし」


「ハゲて無いわよ! これは昔の怪我よ怪我!」


「いいわけ無用です。私は泥棒は嫌いなので。特に貴女はね」


「私は泥棒じゃないわ! 怪盗メイズよ!」


「ならば怪盗をこの寒波の空間から解凍してあげましょう」


「寒波の次は熱波よ! それそれそれ!」


 寒波の後に熱波が来ました。

 暑い……。

 そんなこんなで私はメイズの言葉に多少イラつきながらサクテルを援護します。


「動きを止めないようにサクテル。偉大なる少女の私の魔法を信じて下さい」


「わかってるわよ! 私の影縫いで動きを止めて鞭でしばいてやるわ!」


「その勢いです。あのハゲは対した相手ではありません。姉の仇は早く討ってしまいましょう」


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