地獄ワールドです。
はい。到着しました。地獄ワールドです。
この世界の大地は赤くてゴツゴツしてますね。
そう、今回の世界は地獄です。
そうです。
あの閻魔とか鬼とかマグマの大池に落とされた悪しき人間が断罪される場所の地獄です。
何故か雨が降っています。
血の雨なので服が赤く染まります。
なので魔法で雨が弾くようコーティングしましょう。
「ナールル・ナールル・ナルルルルー♪」
クルクルッと一回点しながら言います。
これでコーティングは完了しました。
足元に気をつけて歩きましょう。
レッツらゴー。
とりあえずスズメが飛んでるので魔法を使い話を聞きました。
「私はナルルです。ピピピ?」
「ピピピ、ピピピ、ピピピ!」
「ピピピ。なるほど、なるほど」
今のスズメが言うには地獄の現在は役人の鬼も罪人達に賄賂で心を支配されてしまい、地獄というものが機能してないそうです。
「やれやれ、閻魔大王は何をしてるやら?」
という事で、その閻魔大王に会いに行きます。
スズメには四次元ブラジャーからエサを出してあげました。
ブラジャーの中を見ようとするスズメは凄い顔をして一目散に飛び去ります。
胸を覗いてはいけません。
「私の胸はまだ平らですが、これから成長します。だって少女ですから」
そして閻魔大王の城に向かいます。
彼に会うのがこの現状を理解するには早いでしょうから。
早めに世界から離れ出している地獄をワールドネットワークのプラネットスフィアと繋げなければなりません。
え? 何故プラネットスフィアに繋げるか?
確かにそれは必要な説明ですね。
私の目的を語りましょう。
私の目的は輪廻転生の源である世界と世界を繋いでいるプラネットスフィアを安定させる事です。
世界を繋げないと、やがて宇宙バランスが崩れ大崩壊が起きるのです。
様々な異世界と異世界を繋ぐ生命線のプラネットスフィアから世界の一部が混乱して、運悪く離れ出すとその世界の人間の輪廻転生の行えなくなります。
なので輪廻を司る天才美少女の私が一肌脱いだという事です。
まぁ、脱いでも胸が無いそそられないという方がいますが、まだ私少女ですから。
え? 意味が違う? わかってますよ? わかってますとも。
だって私ナルルは天才ですから。
ぶい。
「……ん?」
そんなやりとりをしていた私を岩の陰から覗く、赤い髪の少女が顔を出しています。
猫の髪飾りをしてるけっこうな美少女ですね。
私には勝てないですけど。
「……さて、レッツらゴー」
とりあえず地獄の人間なので、取り憑かれたりしたら怖いので無視します。
ストーカーですか?
やれやれです。
そうして地獄の赤いゴツゴツした道を歩いていると、一つの大きな城が見えました。
そして、一人の少年が立ちションをしています。
はしたないですね。
とりあえず話しかけます。
「そこで立ちションをしてる少年。貴方は閻魔大王の関係者ですか?」
「うんそうだ。俺は閻魔ジュニア。って小便してる時に話かけるな!」
「気にしなくていいですよ」
「俺は気にするわ!」
急いで大事な所をズボンの中にしまい、私から逃げようとします。
閻魔ジュニアなら逃がすわけにはいきません。
なので、私の必殺技を使います。
「えいえいえい、やーやーやー、とーとーとー、ちっちっちっ」
火炎・氷結・電撃・爆破系の美少女系無双コンボを叩き込みます。
これで倒せない敵はいません。
「うきゃー!」
と、言いながら閻魔ジュニアは倒れます。
手加減しましたから生きてますよ。
てなわけで閻魔ジュニアを発見したので話を聞きます。
小便中でも良かったのですが、年頃のせいか恥ずかしいようです。
見られても減らないのにおかしいですね。
この場合は縮まないでしょうか?
それはいいとして、一応勝ったのでぶいサインをします。
「ぶい」
「……何がぶいだ。美少女でかなりかわいくて、俺のスゲー好みだからってあまり調子に乗ってもいいけど、親父だけは怒らせるなよ!」
「ぶい。は勝利のぶい。だからすでに勝っているのです」
「お前、そんなに強いのか?」
「だってナルル、最強だから」
驚いた顔で閻魔ジュニアは見つめてきます。
そして地獄の閻魔大王の現状をジュニアから聞きます。
面倒なのでジュニアと呼びますね。
「……」
なるほど、なるほど。
本当に閻魔大王も今はダメなようです。
何故か地獄に現れた猫と戯れている自堕落な日々のようですね。
その猫を連れてきた、謎の赤髪少女によってダメになったようです。
そしてジュニアの話が終わりました。
「……というのが親父の現状だ。赤髪の魔法少女が来てからおかしくなったんだ。でも閻魔大王の過去から続く歴史は地獄の最強の王。このままじゃいけないのはわかってるけど……」
「しかしも、かかしも歴史にはないのです」
「じゃあ、どうすればいいんだよ?」
「閻魔大王の地獄統治が甘いと現世にも影響が出るでしょう。二人で解決しますよ」
「うへ!? マジで!?」
「マジですよ」
人に恩を売るのも大事なのです。
どんな形であれ、縁が出来ればそこから大きな綱がりが生まれ別の世界へと繋がるかもしれない。
そんなわけで閻魔大王の城をジュニアと共に調べます。
謎の赤髪魔法少女を何とか探さなくてはなりません。
私とジュニアは声を上げて言います。
「赤髪魔法少女出ておいでー」
「出て来いコラー!」
食堂を周りますがここにはいません。
なので食事をします。
マグマのように煮えたぎる地獄カレーを食べます。
うーん、このマグマのような熱さとスパイスのコラボが素晴らしいですね。
福神漬けは何故か地獄にはありません……と思ったらジュニアが嫌いらしく厨房の人間に取り除いてもらったようです。
「ジュニア。好き嫌いはいけません」
「え? でも福神漬けっていらなくね?」
「いりますよ。この熱いカレーを食べ続けるには途中の箸休めとして福神漬けは必要なのです。なので食べましょう。それそれそれ」
「うげぁ! そんなにいらねー!」
私は大量にジュニアの皿に福神漬けを盛りました。
捨てられる福神漬けの恨みは恐ろしいというのをこれでジュニアは学んだはずです。
自分が嫌いだからと言って人も同じと思うのは良く無いです。
私の行為はジュニアを将来の閻魔大王として成長させるものだからいいのです。
ぶい。
「食事は済みました。ではレッツらゴーです」
「……お、おう。レッツゴー……」
フラフラになるジュニアと共に城を歩きます。
すると、白い湯気が空間を満たす風呂場に辿り着きました。
お風呂場です。
ここでゆっくり……はしてられません。
とっとと赤髪魔法少女を探さないといけませんね。
都合良く男湯は清掃中でしたので、くまなく探しましたがおかしな人物は見当たりません。
「あれ? ジュニアがいない?」
何か足手まといがいないと思いきや、ジュニアがいません。
うーん。どこへ行ったかは大体検討がつきます。
私はスタスタと隣の湯の方へ向かいます。
「コラ。覗きは禁止ですよ」
「!? ち、違う! これは監視だ! 怪しい奴がいたから!」
「怪しいのは君ですよジュニア」
「俺は閻魔大王の息子だ! 怪しくは無い!」
すると、女湯の中がザワザワとしてきました。
そろそろマズイですね。
ここいらでお仕置きタイムといきましょう。
「言ってもわからないならお仕置きです」
「や、やめろ! ひょぇー!」
私はぶいサインをしてジュニアにターゲットを絞ります。
「えいえいえい、やーやーやー、とーとーとー、ちっちっちっ」
火炎・氷結・電撃・爆破系の美少女系無双コンボを叩き込みます。
ズバババッ! と様々な閃光が発し、女湯の人達は騒ぎをやめました。
ジュニアは黒こげになりながら倒れています。
「ふ、ふげぁ……」
かーなーりー手加減はしましたが気絶するレベルではあったはずです。
まぁ流石は閻魔大王の息子でしょうか。
タフさだけはあります。
「覗きはダメですよ。もう貴方は子供では無いでしょう?」
「わ……わかりましたナルル様。すんませんでした!」
「わかればよろしいのです。では、行きますよ。閻魔大王の部屋へ」
「先に俺の部屋に行こうぜ!」
「いや、貴方の部屋はどうでもいいです」
「いやいや、赤髪魔法少女がいるかもだぜ! 行くぜ!」
てなわけでジュニアの部屋へ来ました。
地獄のアイドルのポスターが大量に張られている部屋です。
何かイカ臭いので窓を開けます。
あぁ、いい空気ですね。
「さて、赤髪魔法少女はどこでしょう?」
「ここにはいねーよ。だって俺の部屋だぜ? 特に変わった所ねーし」
「いや、このポスターの裏が怪しいです」
私はビリッ! とポスターを破りますが裏の壁は普通の壁でした。
あら残念。
すると、ジュニアが怒り出します。
「俺のGGQ59のポスターがぁ! しかもセンターのユーリじゃねーかぁ! どうしてくれるぅ!?」
「ジジイが59人?」
「ちーがーう! アイドルだよアイドル!」
「今はアイドルの問題じゃないでしょう? それに紙が破れた程度で貴方のアイドル熱は冷めるのですか?」
「いや、冷めないけど……」
「ならよろしい。では次はベッドの下ですね」
「ちょ、待て! ベッドの下はー」
焦るジュニアを無視し、私は容赦無くベッドの下の本を出しました。
結構な量の本が出てきます。
頭を抱えるジュニアを一瞥し、私はもう一度その本を確かめました。
「……エロ本ですね。ベタな置場ですねぇ……」
「そ、そうですわねぇ……」
何故か口調が変わるジュニアを無視し中身を確認します。
SMのM向けのエロ本です。
まぁ、青少年としては健全でしょう。
異性に興味があるのは普通ですから。
とりあえずジュニアの部屋は何も無いので閻魔大王の部屋へ向かいます。
すると、ジュニアは私の肩を掴み言います。
「おい、親父の部屋はマズイぞ。絶対ヤバイ!」
「ヤバイからこそ調査するのです。閻魔大王と赤髪魔法少女の繋がりがあるのは確かですから」
「……そうか。仕方ない親父すまねぇ」
「あっさり引き下がりますね。ジュニアも父親の部屋のエロ本が気になりますか?」
「ば、バカ言っちゃいけねぇよ! 俺が親父の趣味なんか知らねーし! つか、親父の性癖なんて知りたくねーし!」
「ふーん。そうですか。ではレッツらゴー」
「おっしゃ! 親父のベッドの下にレッツゴー! だぜ!」
やれやれ、本音が出ていますよ?
そして、私達は閻魔大王の部屋も調べます。
「あらあら、困りましたねジュニア?」
「あはは……そうですわねぇ……」
閻魔大王の部屋のベッドの下もジュニアと同じエロ本ですね。
親父そろってMですか。
そうですか。
閻魔の仕事はドSじゃなきゃ務まらないからその反動でしょうか?
私にはわかりません。
そして、ここにも赤髪魔法少女の手がかりはありませんでした。
「こうなったら直接閻魔大王に会いましょう。赤髪魔法少女の謎はあの人に聞くしかありません」
「仕方ないな……あまり失礼な事は言うなよ? 親父は偉大な閻魔大王なんだからな」
「本当に偉大なら地獄も貴方もこんな状況になっていないでしょう。まぁ、真の悪は赤髪魔法少女ですが」
私とキャラがかぶってるような赤髪魔法少女は閻魔城の内部では発見出来ませんでした。
というわけで閻魔大王に直接会いに行く事になりました。
私の後ろに隠れるジュニアと共に閻魔大王に謁見します。