監獄ワールドのデッドエンドです。忍がいましたよ。
今回の世界は監獄ワールドです。
異世界でも有数の魔の監獄と呼ばれるデッドエンドです。
その名の通り、ここにいる囚人はここで死を迎えます。
今まで脱獄した人は、深緑の旅人・怪盗メイズという少女だけらしいです。
まぁ、私も仕事が終われば脱出しますけどね。
さて、周囲からは寝息やイビキが起こり出しています。
どうやら睡眠魔法により、監獄全体を強制的に眠らせているようです。
就寝の鐘に合わせて魔法を使うなんてサクテル看守長はイヤな事をするものですね。
ま、私は引っかかりませんけど。
少女ですから。
「この監獄にはどんな悪人がいるのでしょう。ワクワクしてきましたよ」
もう周囲は完全に静まり返ったので探索を開始します。
レッツらゴー。
※
デッドエンド内部を探索します。
静かでいいですね。
夜は睡眠魔法で囚人を完全に眠らせているので快適に探索できます。
「さて、この世界をプラネットスフィアから離す原因は何でしょう……?」
一つの気配……を刹那の瞬間のみ感じました。
それは動物的な感覚であり、よほどの場数を踏んだ者しか察知出来ない気配です。
「……」
今は完全に気配を絶ち、周囲の薄闇に同化しています。
これは厄介な相手に出会いました。
私は四次元ブラジャーからチョコレートを取り出しました。
とりあえずチョコレートでも食べるフリをして私が何気無く歩いている事を悟らせます。
静かに行きましょう……確実に相手をしとめる為には緩急をつけるのが大事です。
それが私のやり方……。
「……」
すると、微かに……微かに敵の気配が動きました。
それは明らかな殺意を持って動き出します。
あらあら、そんな殺意を見せていいのですか?
私もマジになっちゃいますよ?
そんな闇に秘めた互いの感情を露呈する前に、一つの変化がありました。
「あれ? 敵の姿が見えている?」
突然、少し先の天井から黄色い忍装束の少女が落下してきました。
全身を黄色という派手な色の忍ですが、明らかに強いのはわかります。
隙がありそうでありません。
何やら、その青い瞳の背中に刀がある忍少女は周囲の匂いを嗅いでいます。
「クンカ、クンカ」
「……?」
どうやら匂いをかいでいます。
そして柱にオシッコをしてマーキングをしています。
「貴女はどちら様ですか? 囚人には見えませんが?」
とぼけたフリをして私は聞きます。
こういう敵ほど厄介なのは今までの経験から理解しています。
相手の目的や行動をある程度理解出来れば対処の方法がすぐに浮かび、突破口が開けます。
しかし、こういう意味不明の相手では私の先読みも効果を発揮しません。
意外にも、私の悩みはすぐに消えました。
「わっちはクンカでござる。フリーの忍で依頼を受けてこの監獄にチン入……いや、侵入してるでござる」
「なるほど。私はナルル。輪廻を司る白銀美少女のナルルです。よろしく。ぶい」
そして、私はクンカから色々と話を聞きます。
甘い物が好きなクンカはチョコレートというモノを初めて食べたらしく、匂いからして敗北を認めてしまうほどのモノらしいです。
クンカはどうやら忍の最強でありながら自分の里を持たず、単独でしか行動出来しないフリーランスである理由がわかりました。
「クンカは最強の外道という事ですね」
と、結論付けました。
一風変わってますが、クンカはミルキーと同じで話せばわかるタイプです。
しかも、ミルキーのように文句を言わない職人気質です。
流石は忍者。凄いです。
決してチョコレートで籠絡したわけではありませんよ?
そう思ってしまったなら気のせいです。
そしてクンカは話します。
「この監獄にある国の姫様がいるのでござる。お転婆なので巨力な魔力の〈宝玉〉が体内にあり、この監獄で大人しくさせているのですがその力を監獄の看守長が見つけてしまったようでござるよ」
「ここの看守長は影縫いのサクテルですね。あの人はそこそこ強いでしょうね」
「馬面だし、ヒヒーンと叫び凄い怪力らしいでござるな。わっちはスマートな忍だから怪力は嫌いでござる」
「私もスマートな魔法少女だから怪力は好きではありません」
「ふふふ」
「フフフ」
「ぷぷぷ」
「ブブブ」
「むむむ」
「むーむーむー」
二人はサクテルの馬面を想像して笑います。
そして、私はクンカと共に監獄デッドエンドの頂上へ進んで行きます。
いや、いくでござる。