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ナルルは異世界を旅します。ぶい。  作者: 鬼京雅
日本ワールド編です
15/38

色んな妖怪が現れて大変です。

 ズンズンと深く険しい森を進むと、感覚が何か欠けているような感じを覚えました。


「……?体調が悪いのかな?いや、特に食事は不味くなかったしおかしなものが入ってる気配は無かった。気のせい……かな」


 少し鈍くなる感覚を感じつつも、私は進みます。

 森の中は特に動物などは存在せず、ひたすら冷たい殺気が私をどこからか狙ってる感じがします。

 ここの敵は魔力を使わない敵のようなので、油断は出来ません。

 そんな警戒状態の私の背後に、一人の灰色の髪と同じ色の半纏を着た幼女が降って来ました。


「――砂よ飛べ!」


「くっ!」


 突如、背後に現れた幼女の攻撃を多少受けました。

 肩にかかる砂はすぐに消え去ります。

 灰色の幼女は下駄を履いていますが、無音で駆けます。

 私は魔法で迎撃しようとしますが、狙いが上手く定まりません。

 どういう事でしょう。

 女の子の日……かな?

 とうとう私にも女の子の日がきたのかもしれません。

 ぶい。


「私はこの魔の森の第一の使者・砂かけスーラ。この妖気結界の地獄である妖怪のアジトに侵入する者は排除するわよ」


「妖気の結界? ……なるほど、なるほど。どおりで身体の動きがよくないわけです。事実を与えてくれてありがとう。そしてこの森には磁場がありませんね。女の子の日というのは勘違いのようです」


 敵が妖怪だとわかり思考が広がり、この魔の森のおかしさに気付きました。

 気付いてはいましたが、意識的に気付かなかったのは私の感覚が鈍っていたからです。

 いや、すでにまともに働いてはいないのでしょう。

 余裕綽々で砂かけスーラは言います。


「この森には結界があるの。だから人間の五感は上手く働かないわよ!」


「確かに。動物などが存在しないから人間の感が働かないようですね。魔力感知も出来ないからまず殺気を感知しなければなりませんし……厄介ですねぇ……」


 砂かけスーラは微笑み言います。


「ここで死んでもらうわ。魔法使いに妖怪は負けないのよ!」


「そうですね。私も負けられません」


「負けるのよ。もう肩の服が石化してるじゃない」


「あれ?本当ですね」


 砂をかけられると石化するようです。

 私の魔法少女服が台無しですね。

 なので早く倒しましょう。


「たりらたりら」


 私は疾風魔法を使います。

 その先にはすでにスーラはいません。


「そんな魔法当たらないよ」


 実は狙いはスーラではなく疾風魔法で木々を切り倒していました。

 これにより、空が開かれ多少の感覚が戻ります。

 多少の感覚が戻れば私の勝ちです。

 すぐ様瞬間移動し、スーラの背後に出ます。


「とう」


「ほげぇ!」


 ペタンと倒れた木にスーラは倒れます。

 ぶい。


「というわけで私は勝利しました。ので、この森の案内をお願いします」


「仕方ないから案内したげる。でも、この先の妖怪は更に強いからね!」


「望むところです」


「何でそんな自信満々なの?」


「だって私、少女ですから」


 納得のいかない顔のスーラに妖怪図鑑を貰いました。

 便利なものをくれますね。

 そしてスーラは言います。


「もう終わりよ。あの親衛隊の女が出てきたという事はネコマジン様も本気になったという事」


「親衛隊?」


 ニョロニョロと首の長い着物を着た女の妖怪が現れました。

 私はすぐに妖怪図鑑を開きます。


「この妖怪は……」


 ろくろ首女が現れました。

 妖怪図鑑を見る限り、ろくろ首です。

 一応名前を聞きます。


「首がながいですね。かーなーりー長いです。キリンですか?」


「ろくろ首じゃ!」


「知ってますよ。この図鑑に書いてありますから」


「なら初めからそう言え!阿呆!」


「口が悪いですね。どっかの赤髪と似ています」


 その時、後方の森からゴソゴソという音がしたのは一時忘れます。

 ろくろ首の女は口からツバを飛ばしました。


「汚いですよ。やめて下さい」


「それが当たればお前は溶けて死ぬ」


「確かに……地面が溶けていますね」


 そのツバは溶解液らしく、地面の土が溶けています。

 妖怪だけに溶解液とはダジャレですか?

 まぁ魔法防壁が上手く作用しないので早く倒さないとなりません。

 うねうねと動くろくろ首の女は追撃をかけて来ます。


「死ね! 魔法のガキ!」


「よく動く首ですね。でもその大元が動いてませんよ」


「なぬ?」


「えいえい」


 私はろくろ首の身体を火炎魔法で攻撃しました。

 いくら首が動いても身体が動かなければそっちを攻撃するのは必然。

 私の火炎は迫ります――が、ろくろ首は叫びます。


「戻れ!」


「あれ? 掃除機のコードみたいに戻った?」


 何と、掃除機のコードのようにシュルル! と戻りました。

 そして空中からツバを撒き散らします。


「馬鹿め! そんな攻撃をしても無駄だよ。魔法ごときで妖怪に勝てると思うな!」


「便利ですね。後は何かあります? 芸があればもっと披露して下さい。ピンチぐらいが丁度いいので」


「私はサーカス団じゃないんだよ!」


 カチカチカチと歯を鳴らし、超音波を発しました。

 あーれーと直撃する私は地面に降り立ち、笑うろくろ首を見つめます。


「調子に乗っているからこうなる。縛りつけてネコマジン様の生贄としてやろう」


「あーれー」


 一時的に聴覚をやられていたので、反応が遅れました。

 縛られてしまいます。

 丁度いいのでネコマジンの話を聞きます。


「ネコマジンとは猫の悪霊なのですか? それがこの魔の森のボス」


「そうだ。この村を改革し、妖怪の住みやすい場所にする王だ」


「なるほど、なるほど。ではこの奥にネコマジンはいるのですね?」


「当然でしょう? ネコマジン様はたまに村にも出向くが、魔の森いる事が多いのだ」


「ならばとっとと進むのが一番ですね。レッツらゴー」


 音波攻撃を受けたフリをしていた私は動きます。


「くそっ! 情報を得るだけだったのか。やはり生かしてはおけないな。ここで消えてもらうわ」


「困りましたね。ではお願いします」


「死ね、侵入者」


「侵入者はもう一人いるのよバーカ」


 赤い髪の魔法少女がろくろ首に火炎魔法を叩き込みます。

 やっと来ましたね。

 私の召し使いが。

 解放された私は背を向ける赤い髪の魔法少女に言います。


「やっと来ましたね召し使い。貴女には颯爽と現れるシュチュエーションを作ってあげたのです」


「誰が召し使いだ! ってアタシが影ながら見てたの気付いてたの?」


「戦闘の途中からですね。殺気が増えたのですぐにわかりましたよ」


 ぐぬぬ……と怒るミルキーと共に、戦闘再開です。


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