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ナルルは異世界を旅します。ぶい。  作者: 鬼京雅
日本ワールド編です
12/38

ミルキーが帰って来ました。新しい姿で……。

 パンツ丸出しのまま私は言います。


「キツネさん。貴方は妖怪だから魔法は使えないのですね?」


「当然だ。俺のかまいたちは自然の力を使ってる。自然力を歪めて使う魔法は邪道だぜ……って、俺はカマイタチだ! キツネじゃねぇ!」


「はいはい。わかりましたよ。魔法防壁が通じないと厄介ですね」


 日本の妖怪とは恐ろしいものです。

 かまいたちとか、魔法としか思えません。

 服が破れて困ります。

 そう言えばパンツ丸出しではないですか。

 涼しい……という場合でなく、


「いははやキツネさん。貴方は面倒な敵のようです」


「だからキツネじゃねぇ! カマイタチだ!」


「あーそうでした。でもその容姿はキツネでしょう。何かもっと外見を変えないとダメですね。出直しましょう」


「出直すのはオメーだ魔法女!」


 カマイタチの疾風が私を襲います。

 これ以上服を切られたらノーパンで過ごす事になるので、パンツ一丁で回避します。

 この格好は動きやすくていいかもしれません。

 ……いや、ダメですね。はい。

 冷静さを失いつつありました。

 何かいっぱい動くと酔うんですよね。

 三半規管が弱いのかもしれません。

 車酔いもしましたし。

 酔うと私、大変な事になるのでカマイタチを早く倒します。


「ミルキーも探す必要があるし、とっとと終わりますよ」


「終わるのはオメーだ!」


 激しい疾風魔法と自然力のかまいたちが激突します。

 ブフォ! と唸りをあげます。

 そして、私を見失うカマイタチはキョロキョロしました。


「あれ? あの女どこいきやがった? パンツも無くなって逃げたか?」


「後ろですよキツネさん」


 ストン! と背後からチョップで攻撃しました。

 あっ……という顔をしながらカマイタチは呟きます。


「キツネ……じゃねぇ……」


 カマイタチを倒しました。

 そして話を聞きます。


「あの女は猫がどーのこーのウルサイから逃がした。カンピョウが食いたいとか喚くから困って逃がしたよ。後は知らん」


「そうそう、知らん」


 あれ? ミルキーいますね。

 やれやれ。

 敵がネコに擬態してたから捕まりましたか。

 全く甘い女ですね。

 ま、そこがいいのですが。

 そして住職が現れ広行に言います。


「バカたれ広行! 妖怪なんぞに騙されおって!」


「すみません! 都市の女を紹介してくれるからって妖怪に騙されて身体を貸してました!」


 すると、黒猫を見るミルキーはまた走り出します。


「黒猫ちゃん助けてあげるわー!」


「猫を追いかけて行ってしまいましたね。まぁ、ほっておきましょう」





 とりあえず、この村の人間に化けている妖怪を探さないとなりません。

 それがこのイクオダ村がプラネットスフイアから断絶しつつある原因のようですから。

 猫神寺を出た私は榎戸民宿に戻り、昨日とは違う部屋で泊まりました。

 事件のあった部屋はすでに畳が張り替えられ、まるで何もなかったような状態になっていましたが私は部屋を変えました。

 微かに感じる妖気の嫌な感覚が不快だからです。

 今の部屋の方が国道の方の景色が見えやすいからでもあります。

 敵の親玉が逃げるとは思えませんが念の為です。

 それにミルキーも暴走気味なので国道の監視は必要です。

 風呂から出た私は髪を乾かして部屋から外の景色を見ました。

 夜の国道にはほぼ外灯が灯っておらず、灯っていてもぼんやりし過ぎていて役に立っていません。国道方面を見た私はあくびをし、布団に入りました。

 そして、目覚まし時計を午前4時に設定して眠りについきました。






 そして午前5時半、イクオダ村から一キロ付近の国道で爆発が起きました――。


「……やはり事故がありましたね。さて、犯人は誰かな?」


 するめイカを噛みながら、窓から白い煙が上がる国道を見つめる私は呟きます。

 その車が事故にあった場所では一台の車が崖下で炎上していました。

 崖の上のガ―ドレルには車が突っ込んだ跡があり、変形しています。

 運転手は黒く石化して即死していました。

 運転手は昨日寺の修行僧の広行でした。

 おそらく、妖怪のボスが指示して始末したのでしょう。


「村の人間が死んだので片山駐在はもみ消したくてももみ消せない。これで私がこの村に滞在する理由が出来た。県警も動くでしょう。ここからが始まりですね。これで私は影のように動けます」


 イカをしゃぶりながら苦々しい顔でまだ暗い空を見ました。


「広行さんあの世で女遊びを楽しんでください。閻魔にかけあっておきます。そして、仇は取りますよ」


 するめイカをほおばり、明け始める空を睨みました。

 そして警察の自転車が現場に到着します。

 片山駐在が渋い顔で事故車と黒く石化した死体を見ています。


「うわっ……真っ黒だよこの死体。ナルルさん勘弁してよ。貴女が来てから事件の連続だよ? まったく……」


「そう言わないで下さい。こうなった以上、県警も動きますし私もしばらくこの村にいるので安心して下さい」


「安心、出来ますかねぇ……」


 警察帽子を脱ぎ、頭をかく片山は溜め息をつきます。

 そして片山駐在は立ち上がり、私はゆっくりと車の破片が散乱してる崖の上に登り始めます。

 そこにはリカが初めて会った時に手にしていたホーキがありました。

 これであの少女も妖怪である可能性が浮上します。

 刑事の感ですね。

 ぶい。


「一度村に戻りますよ。片山さんも来て下さい」


「流石に誰かが現場にいないと不味いでしょう?」


「大丈夫ですよ。そんなに車は通らないし、車はもう鎮火してるし。ガ―ドレ―ルにキ―プアウトのテ―プ貼ってあれば大丈夫ですよ」


「……」


 少し不安に思いつつも、片山駐在は私の後に続きます。

 

「……いらんかえ」


 その場所にゆらりと黒い影が現れました。

 国道を歩く私達を猫売りじいさんがねっとりと見ていました。

 いやん。

 すると、一台の乗用車が山道の国道を走ってきます。

 虚ろな瞳で私はその車を見つめました。

 と同時に全身に寒気が走ります――。


「あれは……あの赤い車は……」


 フラフラと国道の真ん中に立ちました。

 乗用車の運転席をじっと見つめ、ぶいサインをします。

 このまま火炎魔法を使いたいですが我慢しました。

 ブ―ブ―! とクラクションが鳴り、運転手は私を邪魔だと威嚇しました。


「どけぇ一般市民! この紋所が目に入らんのかぁ!」


 窓から顔を出し、警察手帳を構えた赤い髪の少女は堂々と叫びます。

 その赤いスーツを着た少女はミルキーです。

 ミルキーが警察のフリをして現れました。

 おそらくこの世界のTVを見て勘違いしたのでしょう。

 バカですね。


「警察。私も警察ですよミルキー巡査」


 私は警部の警察手帳を出しました。


「なんとぉ!」


 キキィ――ッ! とブレーキを踏んだミルキー自称警部補の乗用車はギリギリの所で止まりました。

 ガ―ドレ―ルの手前で。

 ヤバいという顔をしつつ、ミルキーは車から降りました。

 片山駐在は離れた所から見ています。

 ナルルは見当たらないと言ってます。

 まだ死んでませんよ?


「とうとうやってしまったわ……ナルルはいい子だったのに……残念!」


「何が残念ですか。早く助けて下さい」


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