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偽りサンセット
「そうかもな」
挑発的な態度をとる男とは対照的に、納得した表情で小さく頷く。
反論する言葉もなかった。
嘲られて逆立つ自尊心は、こんなところでは先程食べた食事を早く消化させてしまうに過ぎない。
(此処で死ぬ訳にはいかない)
過去の記憶もなく、この先のあてがある訳でもないがはっきりと思う。
本能と言うべきか。
ならば、こんなところで下らなく言い争って、或いは直接的な暴力を伴って体力を消耗するのは愚かしいことだと思えた。
「は、来たばっかなのに随分枯れてんだな、カマ野郎」
それが捨て台詞であったのだろう。
何が面白くないのかわからないが、一方的に絡んできた男は一方的に離れて行った。
「ごめんね、悪い人じゃないんだよ」
何処かばつ悪そうに謝る声に緩く首を振る。
「気にしなくていいさ。彼の言う通りだと思う。いや、カマ野郎、ではないけど」
冗談で言ったつもりはないが、冗談と捉えたのだろう。
汚れた見た目には不釣り合いな程に屈託のない笑顔を見せた。
尤も、それが本来の姿なのだろうが。




