晴天ストローム
結論から言うと結局、自身の独力では席に戻ることは出来なかった。
自分より幾分も華奢な相手の肩に掴まり、ふらふらと席へと戻る。
「よ、ご両人!お熱いねぇ」
綾子に頼りながら身を投げ出すようにして椅子に座ると、それを見た絵里が面白そうに口笛を鳴らした。
「うるせぇな。煽り方が古いんだよ。同じ姉妹だってのに偉い違いだよな」
先程までのように悪態が返ってくるのだとばかり思っていた。
普段から口が良いとは決して言えないが、女性には比較的控え目に接してきたつもりではあった。
ただ、酒の力と絵里の性格から気遣いが失われていたのだろう。
「そうだね。秀悟クンの言う通り」
絵里は笑っていたが、今日のこれまでの絵里の笑みではなかった。
自嘲気味で、何処か寂しそうな笑み。
「そろそろ、私帰るよ。綾子、秀悟クンをよろしく。いや、逆かな?」
「ちょ、ちょっとお姉ちゃん!」
矢継ぎ早に言いたいことだけ残していくと、絵里は帰っていった。
向かいには、酔い潰れて壁を枕に眠る長政。
自分の隣の綾子は、困った様子で此方に視線を向けていた。
「ん、綾子ちゃんも帰りなさいな。俺はアホ叩き起こして帰りますので」
「えっと、秀悟さんも大丈夫じゃないのに、置いて帰れないですよ」
「大丈夫、それ、もう起きてる」




