続・白昼ナイトメア
「まあ、綾子ももう大人だし、本人が良いなら私は何も言わないけどね?」
「ちょっと、止めてよ、お姉ちゃん!」
この姉妹は一体何の話をしているのだろうか。
皆目検討はつかないが、姉妹の話に立ち入るつもりもないし、余計な口出しをしてまた避難を浴びたくもない。
隣に座る長政に視線を向けると、相変わらず呆けたままの知的レベルが低そうな顔をしていた。
「お前はなんで口開けてんだよ。アホに磨きがかかってるぞ」
「いや、だって、なぁ?世の中ってわからねぇもんだよなぁ。俺も頑張ろっと」
まるで伝わってこない言葉を吐いて、長政は漸く口を閉じた。
自分だけが理解していないような疎外感に一瞬苛立ちかけるも、どのみち自分には関係ないことだと納得させる。
それと同時に、冷静になると自分がこの場にいる意味はないと感じ、思ってからの行動は早かった。
「悪い、俺バイトあるし、帰るわ。長政
、後はよろしく」
この後アルバイトの予定はなかったのだが、嘘も方便で矢継ぎ早に告げる。
三人の反応を待つ前に財布から珈琲代を出してテーブルに置くと、鞄を手にさっさと店を後にした。
後ろから抗議の声が聴こえた気がするが、恐らくは気のせいだろう。
外に出ると太陽はかなり傾いて、自分の影を長く伸ばしていた。
子供の頃、自分の影を踏もうとやっきになったことを思い出す。
何故だろう。
急に子供の頃を思い出していた。




