続・白昼ナイトメア
いつものカフェ。
愛想はないが空気の読めるマスターと美味い珈琲がある。
講義が終わるとそこで読書をしたり、レポートを書くのがささやかな日常だったのだがーー
「なんでいるんだよ」
「そんな嫌そうな顔しなくたって良いじゃない。私は長政クンに誘われて来たの」
「此処は俺の行き着けでもあるしなぁ」
「ごめんなさい。私はお姉ちゃんに着いてこいって言われて」
だそうだ。
前にも言った気がするが、美人が嫌いだと言えば嘘になる。
長政が絡んだせいだろうか。或いは、出会いが最悪だったせいだろうか。
喜ぶべきこの状況を喜びきれない自分がいた。
いい加減と思われるかも知れないが、なんとなくこの美人姉妹は危険だと直感が告げている。
「秀悟さぁ、なんでずっとむすっとしてんの?いっつもって言えばいっつもだけど」
「うるせぇな」
理由を知ってか知らずか長政がへらへらと尋ねてくる。
余計に不機嫌さを増したのを面白がるように便乗して、姉が口を開く。
「そうだよ、秀悟クン。そんなむすっとして格好付けてるからモテないのよ」
「絵里さんきっつー!でも、言えてるぜ、秀悟」
「うるせぇよ」
いつの間に聞き出したのか、姉の名は絵里と言うらしい。
二人にからかわれて苛立ちは募る。
しかし、此処で反応しても二人が喜ぶだけだろう。
表情は変えずに嘆息を漏らす。
「秀悟さんって、恋人とかいないんですか?」
「うるせぇっつってんだろ馬鹿!」
恐らく悪意など無かったのだろう。
いや、悪意どころかもしかすれば流れを変えようとしてくれたのかもしれない。
しかし、触れてはならない禁忌に触れられて、誰の発言かも考えずに声を荒げ机を軽く叩いた。
「っ!あ、あの......ごめんなさい」
肩をびくりと跳ねさせて、自分に非がないのにも関わらず怯えたように綾子が謝罪する。
(最悪だよ...)
「何怒ってんのさ、秀悟」
「謝ることないよ、綾子」




