白昼ナイトメア
世の中には予想もつかないことが沢山ある。
実は此処までの話が全て誰かの書いた小説であったとしても、驚かないくらいにそんなことは承知している。
なのに、自分を驚かす言葉は友人からでもなく、ふぁっきゅーアウトロー美人でもなく、パンケーキと格闘するお嬢様から飛び出した。
「えーっと、秀悟さん?も、長政さん?も、お姉ちゃんの知り合いなの?」
お姉ちゃん。
お姉ちゃんというのは、上流階級の女性の間では容姿は良いが娼婦のような格好と雰囲気を持つ女性を罵る隠語なのだろう。
「んーん、さっきその秀悟ってのにライター貸したら盗まれそうになっただけ。知り合いじゃないよ。アンタこそ」
「え......そうなんだ。私は席がなかったから、相席をお願いしたの」
綾子と呼ばれていた優しそうな美人が、控えめながら嫌悪感を含んだ視線を一瞬自分へと向けたことを見逃さなかった。
どうやら、お姉ちゃんというのは、一般的な意味での姉という意味だったらしい。
「二人は姉妹なの!?すげー!美人姉妹じゃないですかー!」
珍しく長政が大人しいと思っていたら、自分と同様に相当の衝撃を受けていたらしい。
興奮を隠さない様子で二人を見ながら拍手などしている。
「そう、美人姉妹。ね、綾子」
「止めてよ、お姉ちゃん、恥ずかしい」
微笑ましいはずの三人の遣り取りを見て何故か目眩を感じていた。




