白昼ナイトメア
カレーは美味い。
いや、誰もが知っていることだろう。
とにかく、美味い。
この学食のカレーはワンコインでサラダまで付いていて量が多い。
それでいて味が美味いんだから言うことがない。
そう、猛烈な勢いでカレーを食べているのは、この場から今すぐ逃げ出そうとしている訳ではないので悪しからず。
「秀悟クンはなんで何かから逃げるようにカレーを食べーーー」
「ごちそうさま!」
空気を読まずつっこんでくる友人は無視して椅子を引き立ち上がる。
その場にいる誰とも目を合わせずにその場を後にした。
後にしたかった。
ふぁっきゅーアウトロー美人に服を捕まれていなければ。
「なんで逃げるのよ、ライター泥棒の...えっと、秀悟クン?」
泣いてしまいそうなのはカレーが辛かったからに違いない。
「泥棒じゃないです。返しました。逃げてません。あと、俺は秀悟じゃなくてアントニオデース」
空気の読めない友人のせいで名前まで知られてしまった。
しかし、ナイスな言い訳の甲斐もなく友人がはしゃぎだす。
「ライターって、お前......この子がさっきの話の!すげぇ美人じゃねぇか!」
「美人だなんてそれほどでもあるけどありがとう。えっとーー」
「長政です」
「長政クン」
何故か意気投合し始める二人を見て、平穏な日常生活が崩れていく予感がした。




