白昼ナイトメア
声を掛けてきたのは、先程の女性とはまるっきりタイプの違う、感じの良い美人だった。
一点の曇りもない白いブラウスに、性格を表すかのような柔らかいロングスカート。
労働を知らないような綺麗な手で控えめにお盆を持ち、おっとりとした瞳で此方の動向を伺う。
急かす素振りは一つも見せず、それどころか、此方の食事を邪魔したことを申し訳なさそうにしているようにすら見える。
「ん、いーよ、俺らの席じゃないしね、しゅーご!」
お調子者の友人がへらへらとしながら席を指す。
自分の隣を。
これが殺意かと初めて覚えた感情を胸にしまいこむと極めて冷静を装って頷いた。
「違いねぇな。好きにすりゃ良いさ」
自分も同意をしたことで、彼女は薄く笑み、礼を告げて友人の隣に座りお盆を置いた。
「ありがとうございます。失礼します」
ん、と軽く返事をして彼女のお盆の上に視線を遣ると、甘い匂いのするパンケーキと紅茶が乗っていた。
そんな物がこの学食に存在していたことが驚きだが、それ以上に彼女に似合いすぎていて驚いた。
「すげー可愛いの食べてるね、そんなのあったんだ。でも、すげー絵になってる!」
殺そう。
自分が思っていたことをあっさりと軽い調子で口にする友人。
殺してしまおう。
これが殺意ではなくなんだと言うのだ。
カレーについてくるサラダを食べる為のフォークを握り締めながら、そんなことを考えていると後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「綾子!ここにいたんだ、丁度良かった、席空いてるじゃん。何処も座れなくてさー」
声のする方を振り返る。
ふぁっきゅーアウトロー美人。




