偽りサンセット
一体、どれだけの時間が経過しただろうか。
朝も夜もないこの街では、度々時間の感覚が狂いそうになる。
大抵の住人は空腹具合や疲労度、言ってしまえば結局は感覚で時を計っているのだが、此処に来て日が浅い人間が一番困るのは慣れない時間感覚であった。
「そろそろ今日は終わりかな」
隣で作業をしている男が呟く。
特に特徴がある訳でもないその男の呟きが、彼には救いの言葉にすら聞こえた。
それほどまでに、日々の仕事は辛いものであった。
「時間だ、作業を止めろ!さっさと片付けて引き上げろ!もたもたしてると飯がないぞ!」
ジリリリリリリ、とけたたましく鳴り響く終業を示す音と、作業を取り仕切る男の不快な声がこだまする。
しかし、それもまた特徴のない男の呟きと同様であったことは否めない。
すっかり疲労しきった体を引きずるようにして、居住区へと向かう。
正確に言えば作業場のすぐ近くにある汚ない小屋でしかないのだが、住人は皮肉を込めて居住区と呼んでいた。
この作業場はいずれ作業場ではなくなり、本当の住人の真の居住区となる。
此処が終われば、また住人は別の作業場に行き、真の居住区、或いは公共の施設などを作らされることになる。
終わりはなく永遠に。
絶望に近い話だがそれが此処に連れてこられた者達の運命であった。
勿論、それは自分も含めて。




