第五話
揺らめかせたつもりの足は八本もなかった。たった二本、ついているだけだった。下上右左、目をぎょろぎょろさせて見つめた。どうやら私は私を食べようとしたあの女と同じ
生き物になったらしい。
私は顔をしかめた。はっきり言って、不本意だ。アレと私は今や同じ生き物なのだ。そのことがたまらなく不愉快で、意味もなく眉間に皺を寄せていた。
ザァーザァー
波がいつもとは異なるリズムで動いている。嵐の前のような不気味さがある。
海鳥たちは鳴いていない。まるで前からいなかったというように皆どこかに行ってしまった。
私も体がむずむずする。ここから離れるべきなのだ、とタコの魂が警告している。しかし悲しいかな。人間の魂はそれを感じ取れていない。私のベースは人間だ。いくらタコ
として「危険」を理解していても、人間がそれを「理解」しないかぎり私の体は動かないのだ。
ぐわん、ぐわん
全身が湾曲する。周りの人間たちは海を見ながら何やら騒いでいる。ああ、海の神がお怒りになったのだ。薄ぼんやりとそう思った時にはもう、私は父なる水面に飲まれていた。
遅れさーせんww
取りあえず出来ました(^^)/~~~