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俺は毎日、幸せに、平和に、豊かに暮らしたいだけだ  作者: ブルースカイ


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第2話 王国

前も後ろもわからないほどに真っ暗だ、だがたったひとつだけわかることがある




今にでも襲い掛かってくる




異形の者が深淵からこちらを見つめている、ただ見つめているだけだがその目からは確かな殺気を感じられる




俺は剣を持っている、攻撃をすることはできる




だが思うように体が動かない、心臓がズキズキする




胸の痛みに耐え消えれずその場にうずくまっていたら




異形の者は俺の目の前に立ち、真っ赤に染まった手を俺に目掛け振り下ろした












俺はいつもの布団の上で目を覚ました、夢を見ていたらしい




モンスターに襲われる悪夢だった




昨日のことがずっと頭から離れずにいたためか夢ですら平和と程遠いものだった




「おはよう!よく寝れたかい?」




母は笑顔で俺にそう問いかけた、だが母の目の下にはクマができているのが見えた




母も昨日は満足に寝ることができなかったみたいだ




「昨日の騎士様はまだ来ていないみたいだね、でも朝のうちに来るとは言っていたからもう来る頃だと思うわ、ほら!顔洗わって飯食ってシャキッとしなさい!王国は都会なんだからそんな顔していたら田舎者と馬鹿にされるだろ!」




テーブルの上にはいつもと変わり映えのない食事が置かれていた、いつもなら優雅な朝の始まりを実感できるが今日ばかりは憂鬱な気持ちだ




俺はある程度の身支度を整え食事を済ませクーヘンが来るのを待っていた




ぼーっとしていていたらドアが開いた




やっと来たか




そう思ってドアのほうを向いたがそいつはクーヘンではなかった




「今日は早起きなのね、まあ無理もないか・・・」




いつもの見慣れた顔ミーンだった、見送りに来たのだろうか?だがそれにしては手荷物が多い気がする




「何時に来るかわからないからな、それよりなんだその手荷物は、まるで旅に出るような量だが」




「そりゃあ・・・私もついていくから、王国で2年間過ごすんでしょ?」




何を言っているかわからなかった、いつも元気でガッツあふれる奴だとは思っていたがここまでガッツな奴だとは。




「えっと・・・じ、自分が何を言っているかわかるのか?ついてくるとは言ってもまだ何をするのかわからないんだぞ?そもそも呼ばれているのは俺であってお前じゃないんだからさっさと帰れといわれるかもしれないだろ?というかついてきていいとも言われていないんだから」




「歩きだろうが何だろうがついていくから、そのために手荷物ちゃんと準備してきたんだからね!ほら!」




ミーンは自信満々に荷物を見せてきた、手ぬぐいに財布に替えの洋服に旅たちセットといわんばかりに必要なものをそろえてきた、荷物の隙間にはミーンがいつも身につけている髪留めが何個かあった




どうやらマジでついてくる気らしい




「ついてきてどうするんだ、王国の宿は高いし2年間も過ごせるほどの余裕はないだろ」




「田舎と違って働ける場所もたくさんあるとは思うわ、そこで働きながら生活をしていくつもり」




簡単そうに言っているが難しいだろう、俺達田舎者が急に都会暮らしになってまともに生活できる気がしない




悪さをする奴も多いと聞くしお前は来ないで留守番をしていろ




そう言いたかったが俺は何も言わなかった、どこかで思っていたのかもしれない、一緒についてきてくれる誰かがいることに安心を・・・




他愛のない会話をし続けていたらまたドアが開いた、今度は間違いない、王国の騎士クーヘンだ




「待たせてしまったかな?入り口前に馬車がある、その馬車に乗り王国まで行くぞ」




それだけを伝えクーヘンは外に出た、俺も手に持ちを持ち村の入り口に行こうとしたら




「さあ!行こうか!王国!」




母が元気よくそういった




「・・・ハ!?ついて・・・くるのか?」




「まだ何もわかっちゃいないんだ、わからない状態でうちのかわいい息子をハイわかりましたと連れていかせるわけにもいかないからね!ちゃんとした事象が分かるまでは保護者同伴だよ!


ミーンちゃんも忘れ物がないかちゃんとチェックしておきな!」




「・・・!は・・はい!おばさま!」




母は強い人だ、女手一人で俺のことを育ててくれた人だ、しかし今回ばかりはちょっと強すぎる気がする




母偉大なりという言葉があるがこの人のためにある言葉なのだろう






俺達は村の入り口に行った、そこには田舎では見ることができないであろう毛並みがいい馬にところどころ金の装飾が施されている豪華な馬車が俺達を待っていた




「この馬車で王国に向かうぞ、さっ、乘ってくれ」




俺は馬車に乗り込もうとした、しかし俺を押しのけて母が先に入った




「うわっ!・・・か・・・母さん・・・!?」




「レディーファーストってやつだよ!ほらほらミーンちゃん!乗りなさい!」




「ハ・・ハイ!じゃあ失礼します~!」




女二人は意気揚々と馬車に乗り込んだ、それを見てクーヘンは目をきょとんとさせながら口にした




「え・・・えっと、貴方方はお呼びではないのだが」




「息子が何をさせられるのかわからないまま送り出すことは親としてできません!


王国で名誉のある仕事をするのなら親として晴れ姿を見るのは当然!


そうじゃないならちゃんと連れ戻す!」




力強い母の声と表情を見て騎士団長様は少しひるんだ様子だ、これが母親の威厳と言うやつなのだろうか




「・・わ、わかりました、と、とりあえず行きましょう、キミも乗ってくれ」




俺も馬車に乗り込み、4人を乗せた馬車は王国に向かい動き出した




昨日の時点では不安でしょうがなかったが目の前にいる母とミーンの顔を見ていると心なしか安心した






馬車こぼこ道を進み、時々休憩を挟みながら王国まで進んでいった




塗装のされていない道だったからか馬車は何度も何度も揺れ腰が少し痛くなってしまった






どれほどの時間が過ぎただろうか、日傾き始めた頃にふと気づいた、馬車の揺れが収まっている




窓から外を見るともうすでに人の手で施された道を進んでいた




もうすぐ王国につくのだろう




そう思った瞬間門が開く音が聞こえた、それと同時に多くの人々の声が一気に耳に入り込んだ




「ハイ!薬草10個!」




「今週の王国記事みた?フォーリアス隊が魔物の住処を殲滅したみたいよ!」




「仕事上がりの酒が一番うまい!姉ちゃん追加を頼む!」




どこを見渡しても人ばかり、日が暮れているというのに町は大盛り上がりみたいだ




「す・・すっごい・・・これが王国・・・私達の村とは全然違う・・・」




ミーンが窓から顔を出しながら目を輝かせていた、朝のうちの不安な顔はどこに行ったのか、ミーンの顔は新しいことにワクワクをしている表情だ




母もニコニコしながら俺達のほうを見ている




馬車は動きを止めた、どうやらここが目的地のようだ




「さあ降りてくれ、今日からキミが住む家だ」




目の前には普通の家があった、だが外観や内装は王国に相応しい作りになっている




田舎の家とは全然違う作りになっている、俺は2年間ここで住むことになるらしい




「今日はもう遅い、明日迎えに来るから今日はもう休みなさい・・・お母さんとお嬢さんもここで過ごしてください」




そういい残しクーヘンは去ろうとしたが、そうはさせまいと俺はクーヘンの肩を掴んだ




「約束がまだだ、全部話してくれると言ったはずだぞ。明日ではなく今日話してくれ」




クーヘンは少しばかり悩んだ表情を見せたがその目はすぐに変わった




「・・・今日・・・話してもいいんだな?」




「・・ああ・・・ここに連れてきた理由、全部話してもらおうか」




王国についたばかりだが、休む暇もなく俺達の間には緊張が走った

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