特別な日曜日
日曜の朝は、空気の色が違う。
平日のような慌ただしさがなくて、
光がやわらかく部屋に入り込んでくる。
洗濯を終えて、
「そろそろ買い物に行こうかな」と立ち上がる。
玄関を開けた瞬間、
日曜日だけの“優しい音”が耳に届いた。
近くの公園から聞こえる、
子どもたちの笑い声。
ボールが地面に跳ねる軽い音。
自転車のブレーキがきゅっと鳴る音。
どれも、平日には聞こえない音だ。
その音に背中を押されるように、
私はゆっくり歩き出した。
スーパーへ向かう途中、
いつもは素通りしてしまう小さな八百屋の前で足が止まる。
日曜の光に照らされた野菜たちが、
いつもより少しだけ誇らしげに見えた。
「今日は寄ってみよう」
そう思って覗き込むと、
旬のトマトが山のように積まれていた。
赤が濃くて、触れると皮がピンと張っている。
「今日のトマト、いいよ〜」
八百屋のおじさんが、
日曜の朝に似合うゆるい声で言う。
その声に、
さっきの子どもたちの笑い声が重なって、
なんだか胸がふわっと温かくなった。
ほうれん草は葉がしゃきっと立っていて、
じゃがいもはずっしり重くて、
にんにくは香りが強い。
どれも“いつもの料理”を
少し特別にしてくれそうだ。
スーパーにも寄って、
鶏肉とチーズ、
そして気まぐれでレモンをかごに入れる。
レジを出ると、
袋の中から野菜の青い香りがふわっと立ち上がって、
胸の奥がすっと軽くなった。
帰り道、
また公園の前を通ると、
子どもたちが走り回る音が聞こえてきた。
その音が、
日曜の午後の始まりを告げているように感じる。
「今日は、ちょっと手間をかけよう」
そう思えるのは、
日曜日という魔法のおかげだ。




