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新商品に心を奪われた朝

水曜の朝。

目覚ましを止めて、

ぼんやりした頭のままキッチンに向かった。


……何もない。


昨日の夜に全部食べてしまったパンの袋が、

静かに丸まっている。


「……やっちゃったな」


でも、後悔はない。

あのデニッシュもフォカッチャも、

夜に食べたあの瞬間が最高だったから。


とはいえ、

朝ごはんがないのは困る。


家を出る時間ギリギリで、

私は決めた。


「コンビニ寄ろう」


外の空気は少し冷たくて、

眠気がまだ体に残っていたけれど、

コンビニの明るい光が見えた瞬間、

ちょっとだけ元気が出た。


扉を開けると、

あの独特の“朝のコンビニの匂い”が広がる。

コーヒーの香り、焼きたてパンの甘さ、

雑誌のインクの匂いが混ざった、

なんとも言えない安心感。


パンコーナーに向かうと、

新商品シールがぴかっと光っていた。


「濃厚たまごサンド(新発売)」


分厚い卵焼きがぎゅっと挟まっていて、

見ただけでおいしいのがわかる。

手に取ると、

ずっしり重くて、

朝の空腹にちょうどいい。


その隣には、

「チョコクロワッサン(新商品)」


表面がつやっとしていて、

中のチョコが少しだけ透けて見える。

甘い系も欲しかったから、

迷わずカゴに入れた。


レジを済ませて外に出ると、

朝の光が少しだけ強くなっていて、

パンの入った袋が手の中で温かい。


会社に向かう途中のベンチに座って、

まずはたまごサンドを開ける。


——ふわっ。


卵の甘い香りが広がって、

パンがしっとりしていて、

ひと口食べると

朝の体にすっと馴染む優しい味。


「……これ、正解」


次にチョコクロワッサン。

袋を開けた瞬間、

チョコの甘い香りがふわっと立ち上がる。


ひと口かじると、

サクッと軽くて、

中からとろっとしたチョコが出てきて、

一気に目が覚めた。



「こんな朝も、悪くないな」



パンの袋をそっと閉じて立ち上がると、

体が少しだけ軽くなっていた。



来週の商品もチェックしよう。



そんなことを思いながら、

私は会社へ向かって歩き出した。

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