第13章:変わらぬ現実、進む日々
春が過ぎ、夏が過ぎ、季節は再び巡りはじめていた。
それぞれが目標を抱え、3人は忙しい日々を送っていた。
弥生は旅行会社での仕事にも徐々に慣れ、後輩の指導を任されるようになっていた。業務の合間にふと気を抜くと、夜の状態が気になって落ち込むこともあった。それでも、彼女は「社会人としてちゃんとやっていくんだ」と何度も自分に言い聞かせながら、濡れたオムツを取り替えて仕事に向かった。
真希は大学生活最後の一年を駆け抜けていた。面接練習、エントリーシートの提出、そして数え切れない企業説明会。毎日スーツを着て笑顔を作る彼女の心の奥には、変わらず濡れてしまうオムツと向き合う小さな不安があった。でも、諦めなかった。「自分を偽らず、それでも前を向いていたい」その想いが、彼女を支えていた。
佳奈もまた、サークル活動に勉強に追われる毎日だった。夏の終わりに始めた夜のオムツ生活は今も続いており、朝になるたびしっかり汚れている現実が変わることはなかった。時には焦り、時には涙する日もあったが、それでも真希の言葉が支えになっていた。
「オムツは、安心を手に入れるための道具だよ。自信がついてから、手放せばいい」
3人はそれぞれ別の道を歩きながら、月に一度は集まって他愛もない話をした。悩みも、笑いも、そして失敗の話も、分かち合える場所があるからこそ頑張れる。
1年が過ぎても、オムツを濡らす頻度も量も、驚くほどに変わっていなかった。だが、それでも――3人は前へ進んでいた。
心が折れなければ、きっといつか。
“卒業”というゴールが、訪れるその日まで。