表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/16

第12章:新たな約束と、前向きな変化

夏休みに入っても佳奈の様子はどこか沈んでいた。

真希が問いかけると、佳奈はぽつりとこぼした。


「このまま…変わらなかったら、ママが……もっと厳しくなるかもしれないの」


プレッシャーと不安が積み重なり、佳奈の状態はさらに悪化していた。朝起きると布団が毎日のように濡れていて、先週は一度も成功しなかったという。


真希は静かにうなずき、そっと佳奈の手を取った。


「佳奈、今のままがつらいなら……もう、自分を責めるのやめて。オムツってね、恥ずかしいものじゃないよ。安心を得るための、大切な道具なんだよ」


そう言って、自分と弥生もずっとテープ式の夜用オムツで過ごしてきたことを打ち明けた。


「ママに、ちゃんと話してみたら?“完全に治るまで、私は毎晩オムツを使います。途中で投げ出さないから、見守ってほしい”って」


佳奈は迷った。でも、真希のまっすぐなまなざしに背中を押された。


その夜、佳奈は母とじっくり話し、正面から自分の意思を伝えた。

母は最初戸惑ったが、佳奈の真剣な決意に折れ、夜のオムツ使用と共に「失敗への対応」も見直す約束をしてくれた。


そして、その晩から佳奈は、小学生以来のテープオムツを自分の意志で着け、前向きな一歩を踏み出した。


真希は「良かったね、これから一緒に頑張って、オムツ卒業しよう」と優しく励ました。

しかし佳奈も真希も、依然として毎晩たっぷり濡れてしまう状況は続いていた。


それでも、佳奈は心の重荷が少し取れたことで、以前より明るく、少しずつ自分に自信を取り戻していった。


秋。真希は就職活動へ気持ちを切り替え、スーツを着て面接に挑む日々が始まる。

「昼も夜も失敗ばかりだけど、それでもやれることをやるしかない」と、自分に言い聞かせながら。


弥生は旅行会社で繁忙期の夏を走り抜けていた。連日の業務と不規則な生活、夜の失敗も多く、落ち込む日もあった。

でも、真希と時々話す電話やメッセージが、彼女にとっての救いだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ