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第73話 突入メンバー

 そうか。なんで気づかなかった。


「魔物化はオーパーツを中心に構築する。そのオーパーツを人工オーパーツで代用できるのなら……」


 背筋がゾッとする。

 この理論が成立するならば……敵戦力は一気に未知数になる。


「赤眼のミノタウロスの元となった荒木習蓮はC級シーカーで、赤眼のミノタウロスはA級シーカー並みの力を持っていた。A級下位レベルの飯塚は魔物化することでA級上位並みの力を得ていた」


 この力の振り幅を考えるに……、


「人工オーパーツの連中は俺の体感だと単体ではE~D級シーカーレベル。魔物化すれば多分……どいつもこいつもC級以上の力を持つだろう。やばくないかソレ……! ただの一般人をすぐさまC級以上の怪物に改造出来たら……!」


 アビスは依然、余裕のある顔で、


「……それでもやることは変わらない。オッドキャットの精鋭で奇襲をかける」

「ギルド協会には頼らないのですか?」

「それもいいけど準備までどれだけ時間がかかるかわからないし、選抜されるシーカー次第じゃ如月ちゃんのこと無視で迷宮ごとぶっ壊す……なんて手段を取りかねない」

「それはダメだな……」

「特に阿良式辺りはそういう戦術を取りがちであり、実行する力があり、そしてこういった作戦に選抜されやすい。ギルド協会に頼るのは危険だ」


 アビスはPCを閉じ、立ち上がる。


「一色ちゃん。蒼鍔君と空木さん、2人にメッセージを」

「内容は?」

「蒼鍔君と空木さんには結界結晶(シールクリスタル)で結界を張ってもらう。アロゴを結界で囲んでワープを封じさせるんだ。2人はそのまま結界結晶(シールクリスタル)の前で待機、クリスタルの防衛をしてもらう。作戦実行は3日後の正午だ」

「了解。送ります」


 狙いはわかる。


「敵戦力を迷宮内から釣りだすのか」

「そう。結界を壊すために敵はクリスタルに戦力を集中させるだろう。釣りだした敵戦力は2人に処理してもらって、僕らは手薄になった奴らの拠点を強襲する」

「それぞれ単独で守らせるのか?」

「ああ。あの2人はチームで動かすより単独で動かした方が活きる駒だ」


 蒼鍔はともかく、空木さんもそっちタイプなのか。


「突入メンバーについてはD級以下と非戦闘員を除き、B級32名、C級51名、そして僕ら3人を動員する。ユンさんと残りのメンバーにはギルド本部に残ってもらおう。――全面戦争だ。オッドキャットの時限迷宮がガラ空きになるけど仕方ない。防御より攻撃だ」


 思わず唾を飲み込む。

 この迷宮都市でトップ10に入るギルド、オッドキャットの全力……熾烈な戦いになるだろうな。


「朝比奈姉妹はどうしますか?」


 一色さんが問う。


「夕凪ちゃんは復帰無理そうだし、夜猫ちゃんは現状D級以下レベル。連れていくわけにはいかないね」

「待って!」


 エレベーターから夜猫が降りてくる。


「話は聞きました。私も、私も行きます!」

「……」


 俺は一色さんを見る。一色さんはスマホを見せる。スマホの画面には『通話中 朝比奈夜猫』と映っている。


「妹分の頼みは断れない」

「一色ちゃん……」

「ダメだ。お前じゃ足手まといだ」


 ハッキリと言う。


「そんなこと……」

「あるだろ。現にお前が敵戦力を確かめもせず飛び出したせいで、俺は大切なパートナーを奪われたんだ。お前は病室で大人しくしていろ――って!?」


 つい、俺は驚く。

 夜猫は床に両膝をつき、両拳を床に当て、頭を下げた。


「ごめん! ――アレは私の判断ミス。あのクズ共を前にして冷静じゃなかった。力が足りないのも認める。でも! このまま何もしなかったら……私は私を許せない!」


 美亜と夜猫は似ていると思ったが、とんだ勘違いだな。

 美亜と違って、コイツはちゃんと筋が通っている。


「小雪の救出を私にも手伝わせて! 絶対に邪魔しない。絶対に役に立つ!」


 俺は助けを求めてアビスを見るが、アビスは「いいんじゃない?」と肩を竦めるばかり。一色さんは夜猫を連れていく気満々だし……。


「……わかったよ。好きにしろ。つーか、止める権利無いしな」

「……! ありがとう!!」

「一色ちゃん、今回君は夜猫ちゃんのサポートについてくれ。君がつけば、夜猫ちゃんを戦力に数えられる」

「わかりました」

「話はまとまったね。作戦実行までは自由だ。各々準備して、万全の状態で作戦を始められるように。以上、解散!」

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