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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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罪と鱗 地下牢警備員の日記

これはとある地下牢の警備員の日記だ



1日目

今日も薄暗い地下施設でXの監視だ。こいつらは凶暴で危険な存在だと組織の連中は言うが、実際はただの動物と変わらない。檻の中で怯えている姿を見ると、少し哀れに思えてくる。

しかし、哀れみは金にはならない。俺は今日も監視カメラの死角でこっそりこいつの鱗を剥ぎ取る。闇市場では高値で取引される代物だ。この金で美味い酒が飲めると思うと、心が躍る。


7日目

最近、Xの様子がおかしい。餌を食べなくなり、しきりに檻の隅で震えている。もしかして、俺が鱗を剥ぎ取っていることに気づいたのか?いや、そんなはずはない。ただの動物だ。考えすぎだ。


14日目

ついにやつが檻から脱走した。警報が鳴り響き、施設内は大パニックだ。俺は逃げ遅れた同僚を尻目に、非常口へと一目散に逃げる。背後からあいつの咆哮が聞こえる。心臓が破裂しそうだ。

なんとか地上へと脱出し、振り返ると、施設は炎に包まれていた。やつの姿は見えない。俺は安堵のため息をつき、ポケットの中の鱗を握りしめる。これで大金持ちだ。


21日目

関係者の筋によるとやつはまだ捕まっていないとようだ。俺は高層マンションの最上階で、高級ワインを片手に夜景を眺める。あの日、同僚を見捨てたことは少し気がかりだが、もう過去のことだ。

俺は今、自由だ。金もある。欲しいものは何でも手に入る。Xの恐怖など、もう俺には関係ないことだ。


28日目

甘かった。昨夜、悪夢を見た。炎に包まれた施設、逃げ惑う同僚、そして、俺を睨みつけるやつの黄色い目。目が覚めても、恐怖で体が震える。

もしかして、まだ俺を狙われているのだろうか?いや、そんなはずはない。ただの夢だ。考えすぎだ…

そう言い聞かせながら、カーテンを閉め、部屋の隅で身を縮める。


35日目

ついにあいつが現れた。俺の部屋の窓を突き破り、鋭い爪を振り上げる。俺は恐怖で声も出ない。

やつは俺を睨みつけ、無言で近づいてくる。

俺は最後の力を振り絞り、叫ぶ。

「俺は悪くない!俺はただ…」

しかし、言葉は途中で途切れる。やつの爪が俺の胸を静かに貫いた




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