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09



 俺はイヴェットを残して配給所に行き、列に並んでパンとスープを二人分受け取った。

 俺は汚物の真ん中でも飲み食いできるが、イヴェットはどうせ吐くだろう。イヴェットのところに戻ると、彼女は嬉しそうに俺から布にくるんだパンと、壺に入ったスープを受け取った。


「ありがとうございます。私のような部外者に……」

「気にするな。ここで働けるなら誰でも歓迎だ」


 すると、イヴェットは俺の手を取った。


「なんだ? お祈りでもするのか?」

「いえ。食事の時くらいは、清潔にしましょう」


 イヴェットが目を閉じると、首から下げたペンダントの触媒が光った。その手から温かな光があふれ出し、俺たちの体の上を滑っていく。


「これは……」

「浄化の秘術です。私はこれが得意ですから」


 見る間に、服に染みついていた汚泥がぽろぽろと落ちていく。


「すごいな、これは助かる」

「まだまだ未熟ですけどね」


 イヴェットは笑う。そして俺たちは昼食を座って食べ始めた。清掃を再開すればまた汚れるが、食事中清潔でいられるのはありがたい。



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