9/22
09
◆
俺はイヴェットを残して配給所に行き、列に並んでパンとスープを二人分受け取った。
俺は汚物の真ん中でも飲み食いできるが、イヴェットはどうせ吐くだろう。イヴェットのところに戻ると、彼女は嬉しそうに俺から布にくるんだパンと、壺に入ったスープを受け取った。
「ありがとうございます。私のような部外者に……」
「気にするな。ここで働けるなら誰でも歓迎だ」
すると、イヴェットは俺の手を取った。
「なんだ? お祈りでもするのか?」
「いえ。食事の時くらいは、清潔にしましょう」
イヴェットが目を閉じると、首から下げたペンダントの触媒が光った。その手から温かな光があふれ出し、俺たちの体の上を滑っていく。
「これは……」
「浄化の秘術です。私はこれが得意ですから」
見る間に、服に染みついていた汚泥がぽろぽろと落ちていく。
「すごいな、これは助かる」
「まだまだ未熟ですけどね」
イヴェットは笑う。そして俺たちは昼食を座って食べ始めた。清掃を再開すればまた汚れるが、食事中清潔でいられるのはありがたい。
◆