6/22
06
◆
「分かった分かった。あんたは根性のある奴だな。これを使え」
「ですが……あなたのものです」
「あんたみたいな不慣れな奴が手ですくっても効率が悪い。さっさと使え」
俺は無理やり彼女の手にシャベルを握らせ、自分は両手で汚泥をすくい上げた。どうせ俺は全身汚物まみれだ。今更どうってことはない。
「手伝うんだろ? ほら手を動かせ」
「は、はい! 分かりました!」
女性騎士は慌ててシャベルで汚物をすくい上げ始める。
「あんた、名前はなんだ?」
俺はつい彼女に尋ねた。
「イヴェット・チェンバレンと申します。フランキスクス隊の隊長を務めています。あなたは?」
「ウォーレス・フォスター。当分一緒に働く仲だ。名前くらいは覚えておく」
「はい。よろしくお願いします!」
イヴェットはわずかに笑みを浮かべた。栄光ある聖座教会の騎士が、こんな地獄によく飛び込んできたものだ。
◆