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「そろそろ行きませんか。私はもう少しお祭りを楽しみたいです。エスコートしていただけると嬉しいのですが」

「教会騎士様も案外と世俗的なんだな」


 俺はイヴェットに向けて手を差し出す。彼女は俺の手を取った。そのまま俺たちは表通りへと出た。通りには人々の笑顔があふれていた。子供たちが走り回る姿を見ると、こちらも心が晴れやかになる。


「俺はフィクサーとして生きていくと決めたんだ。安心しろ、もう盗賊ギルドには戻らない」

「では、一緒ですね」


 いきなり彼女がそう言いだして俺は驚いた。


「は?」

「私たちはこれからも各地の被災地に救援を行うつもりでした。ベテランのフィクサーを一人騎兵隊に所属させたかったのですが――これこそ主の計らいですね。ウォーレスさんの過去は口外しないでおきます。ああ、よかった」


 しれっとそんなことを言い出すイヴェットに、俺は呆れた。盗賊がこんなに簡単に手玉に取られるなんて、マーロンが見たら大笑いするだろう。


「イヴェット」

「なんでしょうか?」

「俺をはめたな」

「さあ、どうでしょうね」


 くすくすと笑いながら、イヴェットは俺の横を歩く。こいつがこんなにしたたかな女とは思わなかった。幻滅したかって? まさか。ますます惚れてしまいそうだった。



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