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大災禍に見舞われたカラブリアは悲惨の一言に尽きた。
モンスターの瘴気で腐った大地。がれきと化した街。
泣き崩れる女性、呆然と立ち尽くす男性。親を探す子供、子供を失い半狂乱の親。道路に並べられた遺体。これが被災地の現実だ。
その日も変わらず、俺は手押し車に不潔な汚泥を積んで、町はずれの大穴に捨てていた。
「私も、あなた方のお手伝いをさせていただけませんか?」
背中に声がかけられたので振り返る。そこに立っていた女性の姿を見て、俺は目を疑った。
珍しい女性騎士だった。長い金髪をなびかせ、気高そうで清楚で正義感にあふれていて――まあ騎士の鑑で、お姫様が騎士に扮装しているかのような姿だった。剣も鎧も高価そうだ。
「やめておけ。汚いし臭いし瘴気で肺を病むぞ。あんたみたいなお嬢さんは――」
「私たちは、カラブリアの民を助けに来ました。何もしないで帰ることは、教皇猊下と主に対する不忠です。どうか、お手伝いをさせてください」
この女性騎士は、本気でカラブリアを救おうとして来たのだろう。彼女は使命感にあふれていた。だが、それに俺は嫉妬した。
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