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帰ってきたオーガスティンの街は、相変わらずろくでもないところだった。俺は下水道に続く縦穴の蓋を開けて中に入る。部外者には迷路だが、俺は楽々と目的地にまで行ける。
たどり着いたのは地下の酒場だった。下水道の終点とは思えない豪勢なつくりをしている。上の街から吸い上げた金で建てたここは、盗賊ギルドの本拠地だ。
「邪魔するぞ、青二才ども」
「誰だてめぇは」
俺が勝手知ったる顔で中に入ると、男たちが椅子から立ち上がった。
「おいおい、最近の連中のふ抜けっぷりには呆れるな。お前らそれでも盗賊か?」
「なんだとこの野郎!」
盗賊ギルドの面々が気色ばむ。しかし、その時カウンターから声が響く。
「止めておけ。今入ってきた奴はな、お前たちが足元にも及ばない手練れだぞ」
カウンターに出てきた初老の紳士を見て、俺は笑った。
「久しぶりだな、マーロン。新人教育がなってないぞ」
「あんたがいなくなってから、ここの連中も不器用になる一方だ。何しろ、黙っていても街から金が落ちてくるんだからな」
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