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急に何もかも嫌になって、俺は仕事を辞めてオーガスティンを去ることにした。
オーガスティンは悪徳の街だ。以前は「灰色烏」というあだ名の盗賊ギルドのボスが取り仕切っていたが、今は「五本指」というギルドの連中が支配している。
過去と縁を切った俺は、災害派遣協会のフィクサー(解決屋)になった。フィクサーは「大災禍」の対応が仕事だ。
深淵から湧き出すモンスターたちは時に大群となり、肉の津波のように何もかもを破壊し、汚物で埋め尽くして通り過ぎていく。これが大災禍だ。俺の仕事は、一番過酷な被災地の清掃だった。
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イヴェット・チェンバレンに出会ったのは、俺が大都市カラブリアに派遣された時だった。
まだ二十代初めで聖座教会騎兵隊の一つ、フランキスクス隊の隊長として任命された教会騎士。教皇庁の華、輝くばかりの美しさと信仰心を持った女性騎士。それがイヴェットだった。
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