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陰キャラな僕と陽キャラの彼女  作者: 赤白 青
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最後の校内放送


数日後、僕は修羅場?いや、拷問してる所にに遭遇してしまった。


久しぶりに芹奈と二人で、休みの日に遊びにいこうという話をしていると遠くから叫び声が聞こえてくる。

面倒なことには関わりたくない僕であったが、芹奈が気になったので、声のする方に向かって見ることにした。

声は僕たちがよく使っていた教室からするようで、中からうめき声が聞こえる。

二人で中をそっと覗くと、両手両足を縛られている英都が芽衣に蹴られていた。

これは何事だ?


「遂に芽衣もしびれを切らしたみたいね。」


この光景に驚くことなく、むしろ納得している芹奈は呆れたような顔をする。


「まあ、これはいつまでも告白しなかった英都くんが悪いよ。」


英都のやつは大会終わったら告白するって言ってたのにまだしてなかったのか。まあ結果が結果だったから気を使ったのかな。

けど、まさかそれが原因でこんなテレビの誘拐された人みたいな状態になるとは思ってなかったろうな。


「ねぇ、英都くん。私のこと好き?」


殺意を込めた目で芽衣は見下ろしながら英都へと問う。最早殺人犯と誘拐された人みたいな絵面だ。


「だから、そういうことは男の俺の方から・・ぐはぁ」


反論中に芽衣に腹を蹴られた英都は言葉を止めてむせるように苦しむ。


「ねぇ、私のこと好き?」


まだ回復していない英都は答えられないでいると、芽衣が更にキレる。


「さっさと答えなさいよ。」


タライに水を入れてそれを英都目掛けて、勢いよくかける。


「だからそういうことは・・ぐはぁ」


再び反論を試みる英都に芽衣は持っていたタライで思いっきり頭を叩く。

ものすごいいい音が教室に響き渡り、英都がピクリとも動かない。今のはヤバいだろうと思っていると、なんとか生きていてたみたいで指がピクリと動いた。生きてるけど、絶対今のは意識飛んでるよ。

芽衣って芹奈と違って大人しい性格なのかと思ったらやるときはやるのね。ある意味こっちのほうがヤバいかも。


「私のこと好き?」


再び詰め寄る芽衣は動けない英都の髪の毛を引っ張り顔を上げさせると、同じ質問をする。


「だ、大好きです。」


そう言った英都は意識を失った。芽衣は両手を上げて喜んでいる。このやり方で喜んでいいのだろうかと疑問もあるが、遂に英都も観念したか。好きなんだからさっさと言えば良かったのに。我の強い英都の心を折る芽衣の執念恐るべし。


「やったぁ。芽衣おめでとう。」


いつの間にか横にいた芹奈は教室に入り、芽衣と抱き合っている。


「ありがとう。芹奈の作戦のおかげだよ。何度か心折れそうになったけど、信じて良かった。」


芹奈の作戦?やはりこれは芽衣の本性ってわけではなさそうだ。ここまでして芹奈を信じるなら、英都の事ももう少し信じてやって欲しかったと友達ながら思ってしまうな。

芽衣と芹奈は英都の存在を忘れてるようなので仕方なく僕も教室へと入る。芽衣は驚いていたが、喜びが勝っているようで、芹奈とキャッキャ言っている。


「英都生きてるか?」


僕は床にうつ伏せになっている英都を足で突っつく。

唸り声を上げているので、生きてはいるみたい。


「すげぇもん見させてもらったわ」


僕は英都の激闘の後を見ながら、手足を自由にしてやった。


「次はアタシの番だよね。うんうん。」


背後から芹奈の決意のような声がしたので、僕はとりあえずその場から逃げることにした。いや、というよりも本能的に逃げ出した。僕は英都のように縛られるのはごめんだ。

次の日の登校中はずっと周囲に気を配りながらキョロキョロっと挙動不審な感じで歩いた。二度見とか他の生徒からされていたから気持ち悪いとか思われたかも。けど気にしない。縛られて拷問に合うことを思えば、些細なことである。

なんとか無事に教室に着席すると大きく息を吐いて安心する。

ここまでくれば、昼休みまでは安全だろう。


ピーンポーンパーンポーン

安堵の終了を告げる校内放送の音が響き渡る。

これは恐らくそうだろ。こんな時間に校内放送を使うのは先生じゃない。きっと・・


「全校生徒の皆さん、おはようございます。七瀬芹奈です。」


やっぱり芹奈だっか。今度はどんな爆弾発言をするんだろうか。

僕を捕縛しろなんて言わないで欲しいな。


「皆さんは人前式という言葉をご存知でしょうか?」


じんぜんしき?


「人前式とは神様にではなく皆様に愛の誓いをし、その承認となってもらうものです。」


結婚式の言葉なのか。まさか・・


「なので、全校生徒のみんなの前で誓います。私たちは結婚します。相手はもちろん大好きな彼氏です。」


マジかよ。芹奈の言葉に一斉にクラスメートたちが僕を見る。そして、いろいろな言葉をかけてくる。それは祝福だったり、妬みだったりいろいろだ。

待て待て、みんなの気持ちは分かるが、一番驚いてるのは僕だからね。これは冗談にしてはきついですよ。

僕は押し寄せるみんなを掻い潜り、芹奈の放送はまだ続いてる。なので、放送室に居るであろう芹奈の元へと走った。

ノックすることもなく、放送室の扉を開けると芹奈と芽衣がいた。芹奈は僕の姿を見てイタズラが成功したような顔をする。

ここまで来たのはいいが、何も考えずここまで来たので、言葉が見つからない。


「アタシのことをずっと守ってくれるんでしょ?」


あの時の言葉、覚えてたんだな。

優しく笑う芹奈にもう何も言うことは出来なかった。


「ああ。」


この子には敵わないな。僕は頷くしかなかった。

しかし、ここで僕に予想外のことが起こった。それは・・


「全校生徒の皆さん聞きましたか?今のがアタシのダーリンの返事です。」


まさかの校内放送のスイッチを切ってなかったことにより、僕は芹奈の言葉通り全校生徒に向かって愛を誓うことになった。


「みんなの前で言っちゃったんだよ。これはもう結婚するしかないでしょ。」


芹奈は全てが上手くいったように満足気な笑顔を見せる。

散々芹奈に振り回されてる。きっとこれからも変わらず振り回されるだろう。けどそんな人生も楽しいのかもな。


「芹奈、僕と結婚して下さい。」


「はい♪」





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