結果と将来
今回の夏空の白球を元に大会へと必要事項を記入して、送付した。
数日後、僕たちは教室に集まっていた。いよいよ大会の結果が発表される。
代表して芹奈が見る。
結果を見た芹奈の顔からはどっちか分からない。どっちなんだ・・
「ごめん、みんな。ダメだった。」
笑う芹奈の目からは涙が頬を伝って落ちる。
僕たちも見さしてもらうと予選通過とはならなかった事実が記載されていた。
ダメだったか・・
芹奈と芽衣は抱き合って泣いている。
英都も窓から遠くを見ている。泣いているのかもしれない。
僕はガッカリした気持ちもあるのだが、心の中にモヤモヤはあるが、みんなと取り組めた数ヶ月を思い出して笑っていた。
「料理、みんなで考えるの楽しかったね。」
三人とも何も言わないが頷いている。
今日はそれ以上みんな言葉が見つからず自然解散となった。
僕は今日もバイトだったので、店長へと報告しにいく。
さっきまでは楽しかった思い出が湧き上がってきていたのだが、バイト先に一人で向かう道中、心の中のモヤモヤが大きくなっていく。やれることはやったハズなのにモヤモヤはどんどん大きくなっていく。
僕はそのモヤモヤに掻き立てられるように走り出していた。そしてそのままお店に入った。
「ちくしょーーーーーー」
思わず声が出た。心の底から声が出た。
みんなと居るときにはならなかった気持ちに自分自身も驚く。しかしこれこそが自分の本心だったのだとすぐに気付く。
悔しい、悔しい、悔しい。
何度も手で机を殴る。涙はさっきまで流れて来なかったのに、止めようがないほど流れてくる。悔しくて悔しくてたまらない。芹奈の力になりたかった。
「まずはひき肉とご飯の割合が悪い。白桃の熱する温度もやや高い。米の水の量も改善の余地ありやな。」
奥から店長が出てきた。立て続けにダメ出しをしていく。今更ダメ出しをされても遅い。
「改善点はいっぱいある。どうするかはお前ら次第や。」
どうするかってもう大会は終わったんですよ。何したってもう手遅れなんです。
「後悔してるか?」
「やれることはやったハズなのに・・悔しくてたまりません。」
「それはお前が真剣に向き合った証や。そして、次に向かってる証でもある。」
僕には店長が何を伝えたいのか分からなかった。
「譲、お前卒業したらうちで働かないか?」
突然のことで、頭が混乱する。どういうこと?今は悔しさで頭がいっぱいなのだが、店長のこの一言で将来という言葉が浮かぶ。
「卒業って言っても高校やないで。親御さんも心配するやろうから、ちゃんと専門学校で調理師免許取ってからやで。」
相変わらずそういう所は手堅いな。
少し可笑しくなって笑う。将来か・・まだ進路は決めてないけど、今回は楽しかったからそういう選択もありなのかもな。
「まあ考えといてくれや。」
立ち上がった店長は僕を見て優しく笑う。
「よしっ、今日の準備始めるぞ。顔洗ってこい」
立ち去る店長の背中を見て、この人の背中を追いかけ、一緒に仕事するのも悪くないかもしれないと僕は思った。
そして、立ち上がり水道の水で涙を流すと今日の気持ちを忘れないと心に誓う。




