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陰キャラな僕と陽キャラの彼女  作者: 赤白 青
17/21

覚悟と想い


電話で説得出来る気がしなかったので、僕はで直接話す方法を選択した。

いつもより少し家を早く出て、通学路で待つこと数分後、英都はきた。


「英都、ちょっと話せるか」


僕を見た英都は少し驚いていたようだが、話の内容はだいたい予想出来ているような顔をしている。


「話すことは特にないと思うけどな。」


「一応抜けた理由を聞いておこうと思ってな。」


「付き合いは長いんだ。お前なら俺が何で抜けたか分かってるんじゃねぇのか?」


「ああ、けど直接英都の口から聞きたいんだ。」


「俺は友達を傷つけるやつを友達とは認めない。譲を傷つけた芹奈の行動は到底許せないな」


「当事者である僕が許してやってくれって言っても無理なんだよな?」


「無理だな。なあ譲、分かりきったことを聞くなよ。本当は何が言いたいんだ?」


分かってる。英都はそういうやつだ。英都は友達を人一倍大事にする。ある意味本人よりも友達を大事にし過ぎてしまう。だから僕は芹奈を許せても英都は許すことは出来ないのだ。分かってた。全部。付き合いは長いからな。


「確認だよ。僕の思い込みだと嫌じゃないか。」


空を見上げて深く息を吸い込み、朝の新鮮な空気を肺に入れる。そして、自分の逃げたい気持ちと共に外へと吐き出して、覚悟を決める。


「英都はよく言ってたよね。男は拳で語れって。ここからは拳で語ろうか。僕が、いや、俺が勝ったら放課後教室に来い。」


「譲、本気なのか?」


これ以上話すことはない。僕はカバンと上着を投げ捨てる。

未だに戸惑う英都にゆっくりと歩いて立ち寄ると、力強く握った拳で英都の右の頬を思いっきり殴る。


「まだ本気じゃないと思うのか?」


「俺様に喧嘩売るとは、覚悟は出来てるんだろうな?」


「英都、お前が俺に勝てるとか粋がるなよ。お前が俺に勝てたことなんて一度だってないんだから。」


「戦うことを辞めたお前に、今の俺が負けるわけねぇだろうが。」


英都は唇から流れる血を服で拭うとマジな顔になる。英都と対面してるだけで、ものすごい圧力を感じる。本気になったみたいだな。



数分後


「ぢぢぐしょゔー」


「放課後、教室に来いよ。」


僕は地面に大の字で倒れる英都に一言言うと、荷物を拾い学校へと向かった。

そのまま保健室で簡単な手当をしてもらった。傷について詳しく聞かれるかとも思ったが、やんちゃは程々にねっと一言言われただけだった。先生けっこう軽いね。噂では元ヤンらしい。そのおかげで、怪我を見ればイジメか喧嘩か、タイマンか大勢かとかわかるらしい。噂は噂だろうけどね。

教室でも怪我についてなにか言われるかとも思ったが、影でヒソヒソとは言っているが直接僕に何かを聞きに来る人はいなかった。


昼休み、僕は芽衣の説得に向かう。教室に行くと芹奈は居るが芽衣は居なかった。芹奈と目が合うも逸らされてしまう。今は先に芽衣を説得しよう。他のクラスメートに話しかけると、チャイムと同時に芽衣はどこかに行ってしまったらしい。芽衣と芹奈がケンカしていることはクラスでも話題になっていた。僕と芹奈もケンカしているのかとかいろいろ聞かれたが、それはうまく交わし、お礼を言い芽衣を捜す。

いろいろと回るも見つからず疲れたので、家庭科室で一休みしようと向かうと、教室の窓から芽衣の姿が見えた。

どうやら何かを作っているみたい。よく見るとボールで何かを捏ねている。まな板の上には桃と玉ねぎが残っている。白弾ハンバーグを作ってるのか。昨日抜けるって言ってたのに。声をかけようかとも思ったが、ボールに何度も光る物が落ちるのが見えた。


「芽衣、泣いてるのか?」


大粒の涙を拭いながら、芽衣は必死で捏ねていた。その涙が悔しさなのか、辛さからなのかは僕には分からない。けど、芽衣とはまたチームになれることを僕は確信した。

泣き顔を僕なんかに見られたくないだろうから、ここは芽衣の好きにやらせてあげよう。

僕はスマホで芽衣に一言メッセージを送った。


『放課後、待ってるよ。』


昨日の様子だとこれだけでは来てくれるか不安になるが、今日の芽衣ならきっと来てくれると思った。だから長い言葉は必要ないハズ。


「あとは芹奈だな。」


僕は自分の教室へと戻る。



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