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頭突き女の告白

 彼女は、妙な癖を持っていた。なんでか知らないけれど、他人に頭突きをするのが好きなのだ。自分でも、どうして身に付いたのか分からないその癖は、別に嫌いな人に対して向けられる訳ではなく、むしろ好きな人に対して向けられて、だから彼女の友人達は、そろって彼女の頭突きを警戒してる。

 ヤツの頭部には気をつけろ!

 もちろん、彼女自身も気を付けようとは思っているが、ついついぶちかましてしまう事もある。友人達は、そんな彼女の性質を、ふざけてこんな風に説明したりする。

 「ほら、牛とかの動物が、ツノをぶつけ合ってメスを取り合うでしょう? なんか、そういうのと関係あるのじゃない?」

 彼女は自分に非があるとは認めつつも、一応はそれにツッコミを入れる。

 「あたしは人間よ! それに、メスだし!」

 しかし、とは言いながらも、少しは不安だったりもした。あたしは、一体なんなのだろう?

 そんな彼女が恋をした。

 相手は、二歳年上のサッカー部。背はそんなに高くはないが、運動神経が良さそうで、そして、頭突きも得意そう。

 しばらく悩んだ末に、彼女はその先輩に告白をした。

 「先輩、お願いします! あたしと、つき合ってください!」

 駄目元覚悟の思い切っての告白だったが、結果はなんとOKだった。先輩は彼女の告白を受け容れた。

 「ありがとうございます!」

 別に、そういう事をする筋でもない気がしたが、それでも彼女は興奮のあまり、その時その場で頭を下げた。――思いっきり。

 ゴン!

 その瞬間、鈍い音が響いた。

 見ると、目の前で先輩が倒れてる。頭に大きなタンコブを作って。


 次の日、彼女が先輩に頭突き勝負を申し込んで、そして見事に勝利した、という噂話が学校で流れていた。

朗読を作りました。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm23623821

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― 新着の感想 ―
[一言] 次作のネタ作りのために『告白、頭突き』で資料がないか調べていたらこれがヒットして読みました。 最後のオチになるほどーと唸らされました。こういうオチ、楽しくていいですね。 それではっ。
[一言] 文章は上手だと感じました。読みやすく、また、読んでいて楽しいです。先輩の描写に「頭突きが得意そう」なんて噴き出しました。 ただ、オチがよくわかりません。 彼女の頭突き癖が全校に知れ渡ってい…
[一言] 次回の“おつきあい”に期待ですね…え?一途だから先輩限定……ドリアンとか割れそうですね。
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