第5話:嫌がる女神を奴隷にしてみた
魔法による封印を解除する魔法【拘束解除】を使って、本の封印を解いてみた。
かなり強力な封印らしく、強い抵抗を感じる。――強引に封印を破ってやると、本が白く煌めいた。
白い光は次第に大きくなり、人の姿になっていく。
「――私を封印から解放するなんて、なかなかやるじゃないの」
目の前には、俺と同じ歳くらいの少女が驚いた顔をしてこちらを向いている。
俺は思わず、口をポカーンと開けていた。
金髪碧眼の西洋風美少女。艶やかな金髪を腰まで下ろしている。宝石のように綺麗な瞳に心を奪われた。全体的に華奢な体躯ではあるが、胸は服の上から見ても大きく膨らんでいるのがわかる。
純白のワンピースは胸とスカートの部分だけ黒くデザインされていて、メイド服のようにも見える。スカート丈が短いのもポイントが高い。
「色々聞きたいことはあるんだが……まずは、君だれ?」
「私は今世界の創造神――リアナよ! ふふっ、つまりあなたは全人類と等しく私の下僕なのっ!」
リアナは、待ってましたとばかりに、饒舌に自己紹介をしてくれた。
「へーそうなのか」
「――って、あなた信じてないでしょ!」
「なっ……わかるのか!?」
「そりゃあわかるわよ! 見てたら大体! ……はぁ、千年封印されてたくらいでここまで民度が落ちるとは恐れ入るわ。もっと信仰心を持ちなさいよ!」
……と、言われてもな。俺は地球生まれの地球育ちで、異世界に来てからまだ一日も経っていないのだ。百歩譲ってこいつが神様だったとして、信仰しろと指図されるいわれはないはずだ。
「で、その神様がどういう理由で千年も封印されてたんだ?」
「……よくぞ聞いてくれたわね。千年前、私は暴走した魔王に封印されてしまったのよ。出してって何度もお願いしたんだけど、出してくれなかった」
「それで出してくれるなら最初から封印しないだろうしな」
「それで頭きちゃって、残りの魔力をほとんど全部使って世界のどこかに転移して、今に至るというわけ」
リアナはさらっと言っているが、これが本当だとしたら凄いことだ。封印状態での魔法使用は、効率が極端に下がる。効率が下がった状態で転移魔法を使うというのは、ありえないことだ。
「じゃあ今からその魔王とやらに復讐しに行くってことか?」
「うんっ、そのつもりよ! やられたらやりかえさないとね」
「そうか、じゃあ頑張ってくれ。応援してるぞ」
「うん、ありがとう――じゃなくて! は!? このまま私を捨てるつもりなんじゃないでしょうね!」
そのまさかなのだが、リアナにとっては意外なことだったらしい。俺の服の袖を掴んで離れまいとくっついてくる。……正直、クソウゼェ。
俺を面倒ごとに巻き込むな。神界図書館で得た知識をフル活用して、まったりスローライフを満喫しようかと思っていたのだ。魔王なんて単語は聞きたくもないね。
「お願いだから見捨てないでええええええ!」
「ダメなもんはダメだ……さあどっかいけ」
「くっ……この薄情者! 下僕のくせにっ!」
こいつが創造神? 創造神ってこんなにおバカでいいの?
泣き喚くリアナを剥がし、どこに捨てておこうかと悩んでいると、突然リアナの身体が光始めた。
「ど、どうした!?」
「多分……解除魔法対策。一定時間経過で強制封印するトラップが仕掛けられてた……」
「解除方法は?」
「わ、わからないわよ! ど、どうしよう!? 私、また封印されちゃうの!?」
俺としては封印されてくれた方が面倒ごとが減るのでありがたいような気がするのだが、放っておくのも後味が悪い気がする。
「しゃあねえな。じゃあ、封印を上書きしてやるからちょっと待ってろ」
「封印を上書き……!? これはこの世界で最強の封印魔法なのよ! これ以上の拘束魔法なんて存在しないわ!」
「いや、ある。一つだけな」
俺はとある魔法を組み始めた。シンプルにして、最強の拘束魔法。これさえあれば、他の拘束魔法なんて強制キャンセルさせることは容易い。
問題があるとすれば一つだけ――こいつが俺を認めるかどうかだ。
「ま、まさかその魔法は……!?」
「【奴隷化】――お前が俺を主人と認めれば、いかなる拘束からも逃れられる」
「奴隷なんて嫌あああああぁぁぁぁ! 高貴で清らかであるべき女神が奴隷堕ちなんてムリ、ゼッタイ! 他になにか考えなさいよ!」
リアナは顔面蒼白になり、ぶるぶると狼狽えていた。
……俺としても奴隷なんか持つのは御免被りたいのだが、これしかないなら仕方がない。
「これしか方法がないことくらい、創造神ならわかるんじゃないのか?」
「うっ……それは……」
「なら、決断しろ。あと三秒もすればお前は封印される。さっきの封印魔法は千年の時を経て弱まっていた。今度封印されたら、俺が生きている間に解除してやることはできなくなる」
少しおどかしてやると、リアナはビクッと肩を揺らして。
そして、何かを決心したような目を俺に向ける。
「――リアナ、お前は俺を主人として認め、奴隷として仕えることを誓うか?」
「ち、誓うわよ! 誓えばいいんでしょっ! ご主人様!」
リアナは顔を真っ赤にして、唇を噛み締めていた。彼女にとって奴隷になることはかなりの屈辱だったはずだ。それでもなお、また封印されるよりはマシだと判断したらしい。
奴隷契約は無事に完了した。
封印魔法は不発に終わり、パリンっという音だけが響く。
そして、こいつとの出会いが波乱の幕開けだった。
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