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部族長の交代

碧が助け出されたころ、カツナリは遠くを見ていた。シュウコにも言われたが弱肉強食がまかり通る動物の国で実力を見せ続けるのは並大抵のことではないと言われている。ヴァルガは王としての君臨期間が長くそろそろ世代交代だと噂されたが前にあった戦争で実力を見せた。それが功を奏したのか他の動物たちは何も言わなくなったらしい。ヴァルガは随分と楽になったと言っていたが他の動物たちからしたら恐怖でしかないだろう。

 シュウコと話し合いながら農作物を植えているが、肝心の土壌が良くないように思える。普通であれば動物のフンなどがあるため、土の肥料として申し分ないはずだが、カツナリが思っている以上に難しいらしい。なんとなく土壌としてよさそうなところもあれば、明らかに適していないような場所もある。連作障害なども考えなくてはいけないため、調整は必要であるが現状植えている、ニンジン、ピーマン、ホウレンソウ、タマネギ、ナガネギ、トマト、キュウリなどのように見える野菜を植えている。果実となりそうなカキ、ミカン、リンゴ、モモのようなものは木でもらっているため植林している。数本もらっているとはいえ、これらが実るのは数年後以上かかる可能性がある。

 虫などと協力して野菜の観察と果実の木の観察を行っている。詳しい症状などが見えるため人間よりも正確な数値が手に入る。反対に注意しなくてはいけないのが害虫になる。食べたそうにしている昆虫を省くのには苦労したらしい。カツナリにとってはどの虫が害虫にあたるのかわからないため判断がつかない。ここはシュウコを頼りにして行っている。


「しかし、これからが勝負ですか。」

「ああ。そうだが、シュウコはここを最終拠点とするため、食料の栽培を中心に行ってほしい。もちろん、酪農もやっているが、あちらも時間がかかる上、かえって野菜よりも難しい部分がある。」

「動物としてというところもあるでしょうから。」


 以前の話では同族の家畜と言われる動物を食べたからと言ってそこまで不快な思いをすることはなかったらしいのだが、以前のカテーナの件により少し変化が表れているという話である。これがよい方向につながると考えられないため各部族長に頑張ってもらうしかない。人間を食べて以前のカテーナの二の舞になるのは避けたい。


「近隣の国を落とすことによって今まで以上に動物たちが警戒されることになる。こちらとしては助かる面もあるが同時に動物たちの迫害につながりかねない事態となるだろう。その場合にはすべての動物、家畜も含めて一旦、保護する。その後の流れはシュウコたちの判断に任せる。」

「カツナリ、少し先のことを考えすぎではありませんか。いずれはそのような事態になるでしょうが、今は先の戦争のことを考えておくべきかと思いますが。」

「国が潰れるのは一瞬だ。次々と落としていかなくては我々に勝機はないだろう。そのためにも先程の対策も念頭に入れておく必要がある。」


 もし、モリクを倒したことが周辺諸国に気づかれた場合、人間達がどのような行動に出るのか皆目見当がつかない。この世界の人間がどのような尺度で物事を捉えて行動するのか予測がつかない。だからこそ、あらゆることを想定するしかないのだ。ここに碧などの人間の仲間がいれば方策を絞ることができるため指示しやすいのだが。


「それで選定はどのように行うのかな。」

「オーブリーか。それは考えていない。特性がある程度見えてきているが詳しい内容までは把握しきれないからな。とりあえず、蜘蛛族と鷲族に類する種族は出陣してもらう。隠密と空からの密偵は必須だ。その上、蜘蛛は空から落ちてもそこまで被害は受けないだろう。」

「言い方がひどいけどその通りだよ。軽い個体であればあるほどそこまで衝撃は受けない。それはどの虫も一緒だけど、作戦上必要というのもわかっているから説得するよ。」

「助かる。鷲族には直接、俺から話をする。移動手段として使う可能性もあるから俺から出向くべきだろう。後はカメレオン族も使いたいが難しいな。蛇族も同様だ。」


 以前の件があってからカーリンは少し怪我をしているので出陣は控えたほうがいいだろう。本人も乗り気ではない。やはりカメレオン族が怖いというよりも戦い自体に恐怖を覚えているのかもしれない。


「私としてはその意見には賛同しかねます。」

「僕も同じく。」


 シュウコとオーブリーは同時に言う。


「カーリンは部族長である身ですので、戦いが怖いなどの理由で逃げてはいけませんし、弱肉強食の理からも外れることになります。代替わりが必要です。」

「シュウコの意見に同意するよ。人間みたいに甘いことはできないからね。動物たちもプライドがあるから。」

「質問なのだが、その代替わりはどのように行われる。」


 ここら辺が人間とは異なるところである。人間は一定の世代交代を行うが動物たちは明らかに違う。戦って決める動物もいれば人間のような世代交代を行う部族もいるだろう。蛇族についてはカーリンが引退後、別の個体が誕生するらしい。それもまたややこしいな。


「育つまでに時間を要するもののそもそも強いため問題と思うよ。深く考えないほうが良いよ。」

「オーブリーの言う通りです。人間とは明らかに違うのですから動物の法則にのっとってみておいた方がいいのです。第3者が出てくると混乱する可能性もありますので。」


 不確定要素は省きたいと思ったがなかなかそうもいかないらしい。カツナリは再度、遠くを見た。


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