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監禁

生見碧は天井を見ていた。いつ見ても同じ景色である。ここに監禁されてから早半年になる。カツナリという動物の国から来たであろう人間と約束の時間までそんなにない。本来はそこまでその国には興味がなかった。この国にもそこまでの愛着はない。生見碧にとって国はそういうものだった。結局は人間が国を作っている。人間さえいなくならなければ、国はいつでもできる。そして人間の思惑によって国は滅ぼされる。長い目で見れば、その繰り返しに過ぎない。とりわけ、最近は情勢が目まぐるしく変化し滅びる国が出てきそうである。

 シブランという国をみていて内部から腐っていることが浮き彫りになっている。地方は元気がなく中央はくだらない利権の取り合いを行っている。この国がつぶれるのは近い。孫考えていた時に話かけてきたのがノリートという男だった。彼が野心家であることは分かったが、それ以上に国を良くしようとする姿勢が見られたのは彼だけだった。生見はシブランの兵士を辞め、反乱軍に身を寄せることになった。大変なことは多々あったが幹部にも昇格しいよいよ国の都市を落とすまでになった。生見はみんなのおかげでようやく形になりつつあると実感した。

 そして、外部の敵勢力がシブランへ来る動きを見せていた。それがモリクである。そこまで大きくない国でありながら独自の軍事技術で他の国と対等に渡り合っていた。その中には有名な将軍もいるため、各国はその将軍が出てくるのを恐れている。生見はモリクに対抗する策がないと思っていた矢先にカツナリと出会った。彼は不思議な空気を纏っており、知識を随分持っていると感じさせた。彼が住んでいる国は動物の国。類稀な身体能力を持つ、人語をしゃべる動物が住んでいる街である。先日、その国にシブランの軍が敗れたのもカツナリのせいであると生見は睨んでいた。

 シェイラという女性を見たときにそれは確信に変わった。人間離れした身体能力は動物の国に当てはまる。カツナリは知識を吸収するのが早くそれは技術面でも優れている。彼らの後をつけていた生見たちを見抜いたのだ。軍の経験もある生見たちは隠密行動もてなれている。そう簡単に見つかるはずないと思っていたが簡単に見つかった。カツナリは以前の追尾でも反応を見せていなかったから、わずか10日間の間で成長したのだ。モリクにも勝てると見込んで話を進めていた。

 しかし、ノリートは生見が地位を脅かすと考えたのだろう。夜の間に千人の仲間に襲撃されて監禁されることになった。他の奴らも無事ならばいいと思っているが、ノリートはそこまで甘い人間ではない。何人かはノリートの手によって殺されている可能性もある。碧はそこに転がっているパンを見ていた。黒く、腐った色をしている。おおよそ人間が食べることができるものではないだろう。そのパンを眺めて水を飲んだ。水だけは毒も入っておらず、安心して飲むことができる。

 ここまでして彼らが生見を生かしているのは生見自身に仕える者が多いからである。


「今日も食べていないのか。」


牢屋の門番は憎々しげに言葉を発していた。この男も碧から裏切った男である。


「食べてほしいのであれば食べられるものを持ってきてください。このパンを食べるとお腹を壊して早死にしますよ。いや、あなた方は早死にされた方が良いのですかね。」


 碧は毒を吐いた。普段は温厚な彼もさすがにこの仕打ちが半年も続くと精神的におかしくなっていく。まだマシな方であるとも言えた。


「ふん、それだけの口がきけるのであればそう簡単には死にはしないな。」


 牢屋の門番は碧を置いて歩いていった。彼も真面目でいい奴だったけどなと碧は思っていた。しかし、カツナリの約束までそこまで時間はない。万が一の時の指令は部下に出しているが猶予がない。碧がそんなことを考えていると門番が走ってきた。


「なんだ、騒々しい。」


 彼は直ぐにズボンから鍵を取り出した。そして、碧の門を開ける。


「どうして。」

「ようやく助けが来ました。他の門番が指名されれば殺される可能性があるため、この方法しかとりようがありませんでした。」


 咄嗟のことに碧は混乱していたが、誰かが走ってくる音が聞えてくる。そこにはカツナリの隣にいた獣人の姿があった。確かその隣の男はマイルズの副官ではないだろうか。碧は状況を把握することができた。一刻も早くここを抜け出すだけである。

 仲間を連れて生見碧は脱走した。


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