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指名任務

 俺たちは宿に戻ることにした。俺はとりあえず明日、仕事の内容を聞く必要がある。本来なら仕事は明後日からだが、そこで内容を聞いたとしてもすぐに仕事に取り掛かれるようにしたい。シェイラは明日も任務を受けたほうがいいだろう。現金の授受もある。ソロでの仕事は多くないが大丈夫だろうか。

 俺は受付の名札を裏返し、マイルズの部屋の札を見た。表になっていた。マイルズは帰っていない。何かあるのか知りたいが、今探すと関係がばれてしまう可能性がある。

 俺たちは部屋に入った。


「これからどうするの。」

「マイルズからの接触がない限りはギルドと仕事をやっていく。しかし、気になる人もいるからな。相手から接触が来たらできるだけ断らない。変な勧誘や薬とかだったら断るが。」

「分かった。私1人の場合はどうしたらいい。」

「できるだけ近くの任務でお願いしたい。マイルズや俺に何買った場合に連絡をすることができなくなる。」


 何か音が俺は窓を見た。鳥、もしかして、定期連絡か。

 俺が窓を開けると小鳥が入ってきた。俺を見て頷いている。この鳥は確かにあそこの動物だ。足には紙が巻いてある。紙を見てみると文字が書いている。


「反乱軍が近くにいる。また、宗教家も近くにいる。ギルドにて活躍をしていれば相手から勧誘に来る可能性がある。うまくいけば取り込むことができる。癖があるから気を付けるように。だとよ。」

「そう。じゃあ、とりあえずさっき決めた形で動いていれば問題ないね。」

「ああ。」


 俺たちはこの後、すぐに接触するかと思っていたが、相手が接触してきたのは1か月後だった。





「そろそろ慣れたか。」

「親父さん、休憩終わるのが早いと思いますけど。」

「お前がいないときは休憩なんかなかったんだ。これぐらい慣れている。」

「先程の質問ですが、割と楽させていただいています。」

「そうか。冒険者と聞いていたからな。退屈かと思っていたが、そんなことはなかったみたいだな。お前が来てくれて助かるよ。特に会計がよくわかるようになった。やっぱりできる人にやってもらうとこんなにも捗るとは。」

「まあ、そんなに難しくないですけど、表にしたらわかりやすいですから。最初は大変かもしれませんがね。」

「その最初をやってくれたお前に会えてよかったよ。」


 俺は1か月たってこの仕事に慣れてきていた。座っているだけの仕事であるからある意味楽である。会計ではそこまで難しいものではなく個別に支払ったかどうかを纏めているだけで難しいものでない。

 俺はその間にもいろんな人間を見ていたが、思った以上に失礼な人はいないことが分かった。飲食店では何らかのトラブルがあるが、宿ではあまりない。この町は定住している人が少ないため宿を追われると住むところがなくなるためだと思われる。

 この宿で何かがあった場合には別の宿に知らせるネットワークは確立されていた。実はこのネットワークを把握するのが一番大変だった。人の名前や場所、どのような店かも把握して、どの店に知らせてどの人に伝えればいいのか。思っているより大変だった。

 シェイラは毎日任務を行っている。できるだけ多くの任務を受けるのは短期間での任務が多いからだ。マイルズと連携をとる可能性もあり、何かがあった場合にも対応をするためである。

 冒険者として活躍というのは難しい。俺は特にここ1か月で何か成長した感じはない。唯一、体はしまったような気がする。ある意味、数日に1回運動しているようなものだから。


「相方の嬢ちゃんはどうだ。」

「まずまずですよ。」

「ふ~ん、そうか。」


 シェイラは2つ名がつくほどの活躍をしている。薬草取りという名前をもらっている。彼女は思ったよりも安全に任務を選んでいる。農業の手伝いや薬草をとりに行ったり、できるだけ町内でできることをやっている。しかし、かなり張り切ったようで活躍の声が聞こえてくるようである。

 彼女は彼女なりに技術を磨こうとしている。ギルド内での訓練に参加しているのはよく見ている。俺も参加はしたのだが、ついていくことはできない。次の筋肉痛はかなりひどかった。2日後も体が軋んでいた。

 シェイラ宛の指名が入っているらしい。詳しいことは教えることができないとのことだが、1週間にいくつかの指名が入ってきている。指名の大きなところは金額が多いところ。指名料はすべて指名をされた人に入る。金額は安くないが、やってくれる人に頼むなら金額は関係ないという人が多い。

 ギルドの特性もあるのかもしれないが、いまだに何でも屋という印象が抜けていないのかもしれない。


「その割には結構名前を聞くけどな。」

「それはそうでしょうね。でも、今はうまくいっているのが分かるだけですから。」

「結構、有名になってきたな。でも、気をつけろよ。最近は反乱軍も宗教家も動いているようだからな。お前たちなら大概のことは防げることはできるだろうが、何事にも完璧はないだろう。」

「はい。もちろん、分かっています。」


 俺は思考を止めないようにこの1か月を過ごしていた。どんな時も思考を止めないようにできる。努力は嘘をつかない。魔物に襲われているときも柔軟に対応できるようになった。

 ここの宿には複数の反乱軍の人間がいると言われた。反乱軍の人間がどの人が特定はできていない。しかし、ある程度目星はついている。長期滞在をしている3人の人間が怪しい。掃除をしているときも話声が聞こえており、よく議論しているような声量だ。

 反乱軍がいるにしても俺から声をかけることはできないでいる。ここではあくまでも従業員である。そして、ギルドの構成員であり、冒険者でもある俺が反乱軍に直接接触するのは危険である。せめて反乱軍という組織が何を目的で動いているのかわかればよかったのだが、マイルズは結局1か月顔すら見ていない。

 現金を先払いしている以上、親父は部屋の掃除などをするものの、マイルズの私物と思われるものはそのままにしている。しかし、その金額も明日には終わってしまう。俺が引き受けるわけにもいかず、俺も放置するしかなかった。

 今日もそのまま1日が過ぎて行く。



 俺とシェイラはギルドの掲示板を見ていた。見ていたのは薬草の採取である。鼻が利くシェイラが居るとかなりの金額を稼ぐことができる。しかし、最近では魔物の増加によって薬草の量も少なくなっている。この世界の薬草は空気中の何かを吸収し、根こそぎとらない限り、1週間もすれば元通りになる。研究者は吸収する空気中の物質も魔素と言っている。魔素というのは今から2000年前に発生した火山の大噴火によって空気中に散布された物質とされている。この噴火後、人間は魔法を扱うことができたとされている。伝承の類なので確実な証拠はないだろう。しかし、何らかの影響があったのは事実だろう。その薬草の原因が肥料になったという簡単でよい話であればいいのだが、そうではないだろう。


「2人とも言いかしら。」

「はい。」

「2人に依頼が来ているわ。」


 俺たち2人に指名依頼を出すのは変わっている。薬草を主に取っているのはシェイラであることはみんなが分かっている。あえて俺とシェイラに出す意味がない。


「内容は魔物の討伐ということだけど大丈夫。」


 少しだけでも俺たちのことを知っている人間がいる。俺はこの時この街に来て初めての危機感を覚えた。

 通常魔物の討伐は4人以上で行う。弱い魔物でも同様である。2人が魔物を倒す役。もう2人は周囲を警戒する。魔物は戦うほどに何かを消費するため別の魔物を呼んでしまう。魔物は魔物を食べて強くなる。だから、弱った魔物を見逃すことはないのだ。ちなみに人間も魔物の餌になってしまう。弱い魔物でも動物とは違い少し剣が刺さっただけでは死なない。

魔物は引くことがない。それこそ死ぬまで戦うのだ。動物みたいに逃げることはない。反対に一度狙った獲物はずっと覚えているという特性もある。

 だからこそ、複数人で討伐する必要がある。


「少し変わっているけど、依頼者も一緒に任務を行うようよ。最近はこういった依頼はなかったのだけどね。」

「断るわけにはいかないですよね。」

「まあ、もちろん断ってもいい。今回の任務は討伐任務。あなたたちは薬草専門。ギルドとしてやってくれとは言えないわ。」 

「少し考えさせてくれないか。」

「いいけど、依頼者が来たわよ。」


 そこにいたのはギルドで出会ったピンナとグリンであった。


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