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道中の話

 人間の国は多数あるが、大きな国は3つ。バスノス、ユノオス、シブラン。それぞれが独自の国を形成しているが、一致しているのは絶対王政であること。王族が権力を持ち、貴族が王族を支えている中世ヨーロッパの形だ。ある意味、王族に好かれてしまえば上に上がれてしまうともいえるが、貴族が目を光らせているため簡単には上がれない仕組みになっている。

 少し変わっているのが、王族の血統が切れたときは親戚ではなく、全くの他人を王族に指名することが決まっている。ここが少し変わっている。理由としては血統が切れたということはその家自体の力の弱体化が見られるために親戚も力がないものとしてみられるということであるらしい。俺の常識では考えられない。

 だからこそ、過去には凄惨な事件も起こっている。王族がすべて殺されることや、王妃を襲い子供を産めなくする、もしくは殺してしまう事件など。聞いていると思っている以上に悪夢のような事件が多い。


「しかし、そのような事件があるのは王族の力が弱体化しているときだけだ。力を持っているときには自然と協力者が現れる。簡単には殺されることはない。今の時代は強い王様が求められているから、軍人として従軍している王が多い。それでも、元の王様は内政の出身で少し変わっておられる。」


 頭が切れるということか。ゲームの場合、内政型の王様の場合には相手の武将を離反させて崩すのが簡単なやり方だったが、この世界は現実でありやり直しがきかない。その上、離反させた後の扱いなども厄介であり、そこがゲームとは大きくかけ離れている。そもそもどうやって知り合うのかも重要である。会議の中で知り合ったとしても仕事ではあまり話が広がらない場合もある。できれば趣味で繋がりたいがこの世界の趣味というものが存在しているかどうか、どういった種類があるのかを確認する必要もある。


「内政出身の王様か。かなり頭が切れそうだな。そうでなければ、強い王が好まれるか中では王様になることすらできない。」

「カツナリの言うとおりだ。その当時の就任した王様の中では群を抜いて頭が良かった。」

「過去形なのか。」


 俺はここに疑問を持った。現在も王様であるのであれば、あまり能力が落ちているとは考えにくい。確かに脳は進化していくものであるが、それ以上に肉体の疲労や過去の蓄積型の疲労によって判断力や決断力が鈍ることはあるが、基本的に根幹がしっかりしていればそこまで老いることはないだろう。


「最近は特に老いがひどいのが言っていることがよくわからないことがあるらしい。俺も登用された時と軍功を上げた4回ぐらいしか話をしたことがないからよくわかってはいないんだ。ただ、ここ最近ひどいというのは本当らしい。今回の戦争の件も割と適当な作戦でもあったし、理由がなかったからな。以前の王様ならば戦争の理由や利益の話をしていたと思っているのだが。仕方ないとはいえ、少し残念ではある。あの人についていくと決めてあの国に入ったからな。」


 そうか。マイルズは尊敬できる王様についていく決意をしていたのか。爺さんを失って、ヴォルガを見てこちらの国に来たのか。


「俺たちの国のヴァルガ王は頭がよくはないだろう。俺も会って数度しか話をしていないがそれは分かる。完全に知識が乏しい馬鹿だ。しかし、カツナリがいることによって変なことをしなくなっていることがわかった。それに俺を負かしたほどの強い武力は魅力だ。敵として戦うのもよいが、味方として一緒にいたほうが面白い。同じく、人間一人で動物を支援しようとしているカツナリにも興味がわいたからな。今後も面白い人生を送れそうだ。」


 マイルズは忠義ではなく、自分の人生の楽しみとして国を渡り歩いているのか。もちろん、望まず国を出ることもあったはずだが、今の発言からはそのような負の感情を見せないようなしゃべり方だ。本当に面白い方に向けて人生を楽しんでいる。


「そうか。光栄だな。マイルズを飽きさせないように頑張るよ。俺はこの国で一生を終えるつもりだから、国そのものをよくしようと考えている。」

「考え方で人生は変わるからな。カツナリは欲が大きすぎて見えないだけだ。俺の国、シブランの話をしよう。」


 シブランは絶対王政を敷く比較的若い国である。創立100年を迎える今年に大規模なパレードを行う予定で。王様は今の代で5代目となる。初代から3代目かけては武力を中心に偏っており、この期間に大きく国の領土を増やした。4代目と5代目は内政に力を入れており、庶民の生活の底上げと特産品の作成や鍛冶師による新たな武器の作成によって国の力を伸ばしている。特に盾と鎧の精度は高く、2つの大国を遥かにしのぐほどである。

 しかしながら、乾燥地帯と湿地帯の割合が多く、果物や葉野菜の育成に難がある。反対に米の作付けは上々である。米があることに俺は驚いたが、同時にうれしくもある。ホームシックになることは少ない方がいい。また、湿地帯には多くの雨や強い風が吹くため大きな建物はなく、乾燥地帯には大きな建物が並ぶ。湿地帯では農業が盛んで、乾燥地帯では工業が盛んである。湿地帯のほうが多いため、食糧難にはなりにくい。


「食糧難になりにくいとは言っても、なることはある。日照りが続いたり、雨が降りすぎたりすれば簡単に作物は壊されてしまうからな。すべてをかなえることは難しい。」


 今のところ、農業は頭打ちであることから工業に力を入れている。領地の端は海に面しているが、巨大な山々が形成されており、海に行くことは難しい。国として確認したところ集落はいくつかあるが、海で生活している人間は少ないということだ。ちなみに一番端の集落は俺たちの森になるということである。


「山の向こうに海があるのか。」

「ああ。だが、山登り自体はそこまで大変ではないのだが、そこに出てくる魔物が強いらしい。」

「魔物はどういう生き物なのだ。」

「すまない、魔物のことを話していなかったな。」


 魔物とは動物とは違い、心臓を持たない動物のことらしい。心臓の代わりに魔石と呼ばれる石が心臓部に入っている。魔石を壊せば活動を停止し、体は消滅する。魔石は壊れたまま残り、回収することができる。壊れた魔石は鍛冶にて使用される。魔石の種類はある程度、解析はされているが、実際に加えてみないとどういった武具になるかわからない。こう考えると炎が出る槍とか相手を凍らせる弓矢とかを想像してしまうが、あくまでも鉱石の代替品でしかない。変わった特殊能力を持つわけではない。


「そうか。少し前の世界の話を想像していた。」

「どんなものか知らないが、変わったことは起きないぞ。俺の剣もそうだが、魔石を加えた剣や槍は耐久性が格段に上がる。今現存している歴史的な宝剣の類は魔石を加えている物がほとんどだ。」


 強い魔物ほど純度が濃い魔石が取れることが多いが、そのようなことはないのだろうか。

それに魔物の発生条件などが分からないな。


「魔物というのは自然に発生するのか。」

「そう聞いている。しかし、気が付いたらいるという感じだ。もちろん、過去の学者が調べているがよくわかっていない。ただ、人間のいる近くには誕生しないということはわかっている。」


 近くに発生しないということはどういうことだろうか。自然発生するのであれば、近くに発生することもあるだろう。しかも、その魔物が人間を狙うのであれば近くに発生するような気がする。


「少し不思議だな。」

「ああ。人がいない場所で発生するので、発見が遅れるんだ。遅れれば遅れるほど魔物は強くなっていく。数が多くなりすぎると共食いするらしいからな。魔石ごと食べるはずだから体内の魔石が強化されるのではないかと思われている。気が付いたら、ものすごく強い魔物が発見されたという例もある。」


自然発生する上に共食いで強くなるのであれば、気が付いた時には強くなっている可能性が高い。共食いで強くなるというのは厄介な能力だな。もしかしたら、気が付かないうちに最強の魔物が誕生していることも考えられる。


「魔物はその特殊性が際立っているが、それ以上に行動が読めないところもあるからな。討伐には兵士ではなく冒険者が向かうのが普通だ。」

「どうして冒険者が。」

「冒険者の中には魔物の討伐を主として任務を受けるやつがいる。そういったやつが一定の数はいるから冒険者の役割はなくならないんだ。最近では大陸を渡るような冒険者はいないからな。ほとんどの大陸や島は発見されつくされているから、それこそ森の先の海の先がまだ何も発見されていない。行く人はいないだろうがな。」


 造船記述はそこまで発達していないように思える。大陸が一つしかないということももちろんだが、周りにも小規模の島々があるだけで大した実りもないのだろう。しかし、本当に大陸や島々はないのだろうか。


「それは危険だからか。」

「いや、そうではなく文献に乗っている言葉があるから。その言葉はこの海の先の大陸を目指すなという言葉だ。」

「目指すな、…、大陸を探すなではなく。」

「そうだ。奇妙だろ。」


 少し奇妙だ。危険であるならば大陸の先へ行くなというところか。よっぽどの危険がある場所なのか。それとも別の危険があるのか。どちらにしても、海の外へ行くのはやめた方がいいのだろう。


「海の話は置いておくとして、バスノスは多民族国家だ。人間の種族もいろいろといるのに加えて、頂点にはエルフ族という長寿の種族が君臨している。この王は200年前から王族としているが、今のところ代替わりはない。それだけ長寿である。しかし、その分停滞しているともとれるけど。」


 バスノスとは隣接しているが、国境は川で分かれている。反対にユノオスは平地で繋がっているので戦いが絶えない。しかし、最近では小休止になっている。今回の戦争で大幅な戦力が落ちたが、彼らは今後どうするのだろうか。


「今回の戦争でかなりの戦力が失われた。それは大きな痛手だろうからな。以前の王であれば内政に力を入れる形になるはずだが、今ではどうなるか。」

「そこまで状態が見えないのか。」

「ああ、そんなにも変わってしまわれたからな。だからこそ、今回はシブランに来たかったんだ。まさかとは思うがバスノスに攻め込むことなどはないと思うが。」

「バスノスに攻め込むと何か不都合があるのか。」

「そういうわけではない。バスノスの武力は通常の武力とは違い、別の力が動いているように思っている。以前、俺が戦った時も尋常ではないほどの力を感じたものだ。もう10年以上も前の話だから変わっているかもしれないが。」


 俺はその話を聞いてなんとなく、嫌な予感がした。



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