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秘密の対談と秘密の会議

 俺は夜中にマイルズを訪れていた。彼は黙って座っていた。もちろん正座で。彼は何を考えているのだろうか。しかし、何かを腹に決めているのだろう。座る気配からはそんな雰囲気がある。


「どうした。何かあったのか。」

「そうでもない。一応、話をしておこうと思ってな。」

「こんな夜更けにか。ゆっくりとさせてほしいのだが。」

「ゆっくりとはしているだろう。」

「そういう意味ではない。精神的にという意味でだ。さすがにここにいれば精神的にも下がり気味になっていくからな。あんまり変なことをしないでもらいたいということだ。」

「まあ、知らないが、あなたは現在捕虜なのでこちらに権利はある。その上、あなたの国では捕虜を丁寧に扱うという文化があるのか。」

「…。あまりないな。」


 では、そこまで気にすることはない。この世界は思っているよりも文化が進んでいないような気がする。しかし、そこに新た物を持ち込んでいいものか。ここの世界を壊してしまうのではないだろうか。

 だが、もともと相手の国や世界の国の政治を見なくてはわからないだろう。


「…、迷い人も大変だな。ここに何を考えている。」

「何を考えている。何の話。」

「分かっているだろう。ここの世界で何をしょうとしている。そして、何を思っているのか。それが本当によくわかる。貴様は顔を隠すのに向いていないな。こういった交渉事には向いていないだろうな。」

「…、そうか。」


 それはよくわかっていた。ヴァルガやシュウコにも顔の表情に出ることは指摘されていたからだ。だからこそ、軍師の時には敵兵に見つかるわけにはいかなかったが、危機には表情には出ないと思い安心していたが、マイルズには策が何もないこともばれていた。


「思ったよりも衝撃が少ないな。」

「もとよりそこに向いていないことは分かっていたからな。戦争の時もそれは気にしていたぐらいだから。まあ、それは置いておいて聞きたいことがあって、もう一度ここに来た。」

「なんだ。」

「動物の話を聞いたことはあるか。」

「ここのか。」

「ああ。」

「じいからは少し聞いたことがある。やんごとなき人たちがここに埋葬されていると聞いた。」

「やんごとなき…、王族か。場所は聞いているのか。」


 ここに埋葬されているということは本来、立ち入り禁止の場所である。しかし、一体埋葬されたのはどの国のことだろうか。国の埋葬の話を聞くとこの場所に国があったことを示しているともいえる。そのような記述の文献が残っているのは国ぐるみではないと残らないはずだ。


「ここに国があったのか。」

「あったと聞いている。古来にあったとされるが文献にはそれだけしか載っていないようだ。」

「それだけしか載っていないということか。かなり意図的なように見えるけどな。」


 記述がないというのが本当であれば、意図的に国が情報を書き換えた可能性がある、もしくはもともとここにやんごとなき人物を埋葬した人、もしくは国があえて何も残さなかった可能性もある。しかし、埋葬したことだけの記述を不自然なので、前者が正しいと思われるが。


「実際にそうなんだろうな。だが、本当にわからなかった。俺もそこで調べてはみたんだがな。わからなかったよ。」

「そうか。では、ここに動物がすんでいるのは分かっていなかったのか。」

「ごく最近だ。わかったのは。それはじいからの報告だった。彼はずっとここのことを気にかけていた上に友好的な外交をするようにとも言っていた。今考えれば異常であったのだが、俺はそれに気が付かなった。彼には友人がいたのにも忘れていたしな。」

「ここに住んでいた人間か。」

「そうだ。彼は何かを研究をしていたが、国を追われたのだ。」

「…。」

「だから、今回の戦争に国が何を求めているのか、分からなかったのだ。」


 そうか。マイルズもわからないながらも戦っていたのだな。マイルズの今の雰囲気であればこちらに来るだろう。もし、あちらの国に帰っても今までと同じ待遇ではないはず。それを考えれば、彼はこちらに寝返る。彼はそのぐらいのことはできるはずだ。

 マイルズよりも今は研究者とじいの話が気になる。彼らは確実に何かを知っていて、ここの国を何とかしようと思っていたはずだ。研究者も死んだということであるが、今回の戦争からここに人間が出入りできることもわかった。今でも森の守護部隊は解散させていない。彼らは今でも警戒を続けている。


「君の誘いには乗ろうと思う。今、ここに動物がいないこともわかっている。だから、この話を聞いてくれないか。」


 俺は彼の提案を聞いていた。







 その夜、ある会議が行われていた。会議には全種族の族長が顔をそろえている。会議にはヴァルガとシュウコももちろん、参加しており、会議の中には意外なものもいた。


「今回は人間がまた増える可能性があるということでいいのか。ヴァルガ王よ。」

「もちろんだ。カツナリが言っていることはそのことだ。今後の対策を考えなくてはいけないだろう。それにもう一つ大事な案件がある。こちらはみんなで協議を行いたい。」

「初めて会議に参加したオーブリーよ。貴様が言うことではないだろう。それにカツナリと懇意にしている貴様がそのようなことを言う権利はないはずだ。」

「クライド、貴様もそうだろうが。」

「それはそうだが、貴様みたいにこの会議に参加しないほどではなかったからな。」

「もうおよしなさい。みっともないですよ。それよりも人間の話ともう一つの議題についてです。」

「ふむ、そうだな。」


 ヴァルガはこの話を聞いたときにカツナリの恐れていることを理解した。彼は本当に人間の怖さと動物の怖さを理解していると。この時のことを恐れてのことだろう。まさか、本当にこのような事態に陥るとは思ってもみなかったのだ。しかも、これは半分の種族に関係する重要な案件となってしまった。


「確かにその話も重要ではあるが、人間の増加の話が一番気にかかる。これから人間が増えていけば、我々の優位を失うことになりはしないか。」


 猿族のパーテルマはそういった。ヴォルガは彼の表情を見て、彼が人間を恐れているとわかった。彼の種族は以前の戦争で大敗を喫したうちの一つの種族である。彼が人間を恐れるのは無理ない。だが、彼を戦争に出さなかった理由がよくわかった。このまま戦っても大した戦力にはならなかっただろう。すぐに森に帰ったに違いない。ヴァルガは少し彼を見ていたが、ため息をついた。猿族の族長を変えなくてはいけないと思ったからだ。

 しかし、他の種族も人間が増えるのを好んでいないようだ。この中では好意的な動物はいない。これはもしかしたら今後の大きな問題になるのかもしれない。どの種族も今回の事態に関係している種族である。これは人間に対する負の感情から来ていることもあるとわかった。とは考えたものの今できる対策がないことが事態の重さを感じてしまう。


「懸念は最もだ。では、これからの話をしていこう。」

「ここにカツナリがいる必要は。」


 クライドがあえてカツナリの名前を出した。もし、本当に戦うことになればカツナリの知識が役に立つとクライドが考えていたからだ。個人的にこの事態に巻き込むのが嫌だというのは会議の前に聞いていた。しかし、この会議の場ではカツナリの名前を出す必要がある。彼が軍師である以上は。


「今はない。わかっているだろう。彼は軍師であって重役ではない。今後はわからないがな。紛争や戦争という形になればカツナリを参戦することになるが、現段階ではそこまでの話は来ていない。関係ないものは今は呼ぶべきではない。」


 ヴァルガはそう結論づけた。本当に今は余計な情報や人を入れるべきでなかったからだ。


「では、会議を続けるぞ。人食動物に対しての皆の意見を聞きたい。」



 会議は明け方まで続けられた。


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