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本陣の開戦

時は遡る。


本隊を見ていたハビエルは別動隊が本隊より離脱するのを見ていた。彼らの兵数は2000ぐらいか。シェイラの100と比べると20倍である。すぐにも助けには行きたいが、それは不可能であった。ここにいるのは50名前後。多勢に無勢である。それよりも兵站部隊に援軍を送っていることにも驚いていた。彼らは反対に奇襲を行っている。カツナリの作戦がここまで看破されるとは思っていなかった。

ハビエルはカツナリが言っていた軍師という役職をなめていた。カツナリはこの過程に至るまで沢山考えていたように思うが、相手はそれ以上の策士だったのだろう。しかし、本当に人間というのはよく考える物だ。


「しかし、この儂たちの攻撃にどういう意味があるのか。」


 ハビエルはすでに5日ほど空撃を続けている。この攻撃で彼らに損傷を与えているのは分かっているのだが、それからのことの意味が分からない。カツナリからはずっと続けていることに意味があると言われている。


本隊が別動隊をさらに出そうとしていた。後ろを見てみると森が近くなっている。そろそろ、本戦が近づいてきているのか。この展開はカツナリが描いていたものだが。

さらに別動隊が歩兵と騎兵に分かれていく。ここも予想通り。

 ハビエルは空撃を中止し、帰還した。次の作戦に備えるために。




カツナリはハビエルが帰還するのを見ていた。ついに敵兵の本隊が来ている。この戦いはこちらが劣勢で始まる。奇襲部隊が大幅な奇襲部隊に奇襲されるというのは予想していなかった。クライドが不在のこの状況で相手を撃退することができるのか。しかし、俺の予想に反してヴァルガの立ち姿は見事なものだ。常に一点を見つめている。そして、その時を待っている。対策はすべて立てたつもりだが、初めての戦争にて取り残しややりの残しはある。せめて、もう少し時間があればシェイラが。


「カツナリ。貴様の思いは分かる。立案者としてシェイラが奇襲部隊に襲われたこと、クライドを援軍に送る不手際。その上、罠には不安要素も大きく、相手の兵士の数は約3倍近く。確かに対策を講じる手立てはあっただろう。もし、過去に戻れたらだけどな。それは無理だろう。」


…。確かにそうだ。ヴォルガの言うとおりだ。俺の悪い癖である。しかし、今後はこのような対策を立てていかないと難しい。


「だが、覚えておけ。今の貴様では判断を迷う。安心しろ。相手が上手だろうと策をうまく発動しようと我々が砕いてくれる。だから、前を向け。カツナリ。お前はよくやった。」


 ヴァルガはおもむろに前に出る。その姿は先程シェイラを心配しているような姿ではなく、王として毅然として歩いている。


「我が同志よ。敵を殲滅するぞ。」


 咆哮のような歓声が聞こえた。そして、各部隊が現れた敵兵に向かっていく。単純に向かっていくわけではなく、彼らは大回りをして敵の本陣へと迫る。相手の本陣へと向かうのはオーブリーと猿族の族長、熊族の副族長が向かっている。オーブリーは相手から見て右側、猿族と熊族は左側から攻める。さて、相手がどのように出るか。

 俺は相手の騎馬隊がオーブリーのほうに、歩兵が猿族と熊族に向かっているのを見て最初の出だしがうまくいったことを感じていた。


「こうもうまくいくものか。」

「それは相手の軍師がまともな考えを持っているからでしょう。普通ではない閃き型の軍師であれば我々に勝ち目はありません。すでに彼らは王道をきていますから、これから方向転換はしないと思いますが。」


 しかし、油断は禁物である。人間は厄介なもので能力を覚醒させることがある。それがない限りはこちらが勝つと信じたい。少し彼らの隊形が変わりつつあるのか。5人一組を解消した。50人一組の形に変形している。おそらくは動物の兵士に対抗するためだろう。人間の身体能力では追いつけないことも多い。

 まずは一手。こちらも隊形を変更するか。俺はヴァルガを通じて指示を出す。隊形とは言っても訓練などしていないので、単純に近くに集まって助け合うだけだ。それでも今までとは違い脅威となりうるだろう。


 今回、ぶつけたのは500人。蜘蛛族が200名、熊族100名、猿族200名。そして、もう一つ出す軍が1000名と1000名。一族最大の勢力の犬馬族。その後ろを蛇族に通過させる。犬馬族の体の大きさは最低でも2メートルはある。その後ろを蛇族が通ればわからない。といいなと思っている。すべてうまくいくわけではないから、ばれたらばれたで仕方ない。でも、彼らには援軍を出す余裕はなくなるはずだ。




「これでここでの仕掛けは終わりか。」

「はい。あとは罠にはめます。おそらく、相手の指揮官は私が人間だということを知っています。そして、こちら側にいることも含めて。そうすれば、何か釣れるでしょう。」

「危険ではないのか。」

「危険は承知です。シェイラも危機を迎えた。今度、危機を迎えるのは私たちの右翼です。数の暴力には動物たちと言えど勝つことはできない。ヴァルガ王はすぐに応援へ向かってください。」

「私はここに残り指揮を執ります。」

「分かった。では、2000の混合部隊よ。俺に続け。」


 ヴァルガは右翼へと向かっていく。さてと、ここからは相手がどのように来るかだな。俺の肩には小鳥が乗っている。この小鳥が最後の作戦を伝えてくれる。あとは俺の仕掛けとオーブリーの仕掛けでどうなるかだな。


「カツナリ様、ここには相手の本軍が来るのでしょうか。」

「予想では来ます。しかし、無策で迎え撃つわけではありません。今回は殲滅ではありません。それならばなんとかできるでしょう。」


 では、俺も行こうか。

 敵本軍へ向けて2000の兵を防御態勢に変更する。



 ついに本戦が始まった。



「では、体制を変更する。熊族の200名が最前列へ、犬馬族を左右に200名、小動物隊を隠すように配置しろ。」


 敵兵は左右を迎撃しながら中心を見ている。それは当たり前だ。本陣を目の前にしてすぐに突撃を仕掛けに来るようなバカはいない。相手はどのように考えるかだが左右にも罠があると考える。相手はそれを踏まえたうえで攻めてくるのか。

 俺ならばこう考える。


「左右を捨て置き、あえて正面を突破する。」


 敵兵は左右に8000程度を残していた。俺とは違う考え方だ。この戦いは森に火をつけて燃やした時点で相手の勝利は動かない。相手の指揮官は反対に左右を拘束するつもりだろう。あまり中途半端な兵士を残しても本陣の援軍に来た際には障害になる上に左右を突破すれば勝てるのだから。

 それは間違っていない。俺はそのようなことを考えはしなかった。有利の状況を続けることこそ最善だと思っているからだ。俺はオーブリーの兵が撤退に入った。敵兵も釣られて左に流れている。


「すごいですね。ここまで完ぺきではないですか。」


 そして俺たちの後ろから小動物たちが左に向かっていく。あとはシェイラのほうが気になる。そうすればすべてが形になる。

 前を見れば、敵軍の騎馬軍が来ている。数は4000人か。半分をこちらに割いてきたか。相手も罠を見越して速度を重視している。その作戦は正しいが、俺たちの狙いは人間ではない。

 前で馬が前足の蹄から20センチの部分を失っている。乗っている人間は落馬する運命になる。そこにはオーブリーたちが張った糸がある。岩と岩の間に糸を結んでいる。彼らの糸は頑丈で切れることはない。少し太いからよく見たらわかるが、騎馬の高速で見えることはないだろう。

 しかし、指揮官の周りの人間はすべての糸を飛び越えながら進んでいる。落馬した人間もこちらに向かっている。さすがに精鋭部隊。多少でも進んでくる。しかし、彼らに律義に付き合う必要は俺にはない。

 俺は相手の軍をしっかりと見ていた。


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