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別動隊の状況

「動きはない。」

「大丈夫です。シェイラ様。敵軍に動きはありません。」


 シェイラは敵軍の動きを見ていた。奇襲の時期を見極めるのは大事だが、それ以上に敵軍の動きを把握するのが特に重要であると考えていた。前の戦争ではこの情報が足りないために負けてしまったとシェイラはあの時の気持ちを忘れてはいなかった。

 その時は数多くの同族がなくなってしまった。今でもあの死体の山を見ると吐き気が込みあがってくる。


「別動隊の様子はどう。」

「こちらに気付いている気配はありませんが、森に入られればさすがに気が付きます。それはどうしますか。」

「大丈夫。それはカツナリに聞いている。でも、危険が伴う。クライドの部隊から50名借りてきているけど、それで足りるかどうか。」


 カツナリの作戦を伝令から聞いたが、うまくやることができなければこちら側が殲滅されてしまう。


「お困りかな。」

「オーブリー、どうしてここに。」


 木の上からオーブリーが顔をのぞかせていた。彼は背中に多くの蜘蛛を伴っていた。


「さすがに何も罠がない状態で作戦の実行は難しいだろう。俺たちが補助してやる。カツナリは俺たちにも任務を伝えているからな。ある意味、この作戦も大事なんだ。」

「任務のほうを優先した方がいいのでは。」

「その任務はすぐにできないんだ。ある程度、時間が経たないと任務はできないからね。こちらにも伝令が来ることになっている。」

「そう。それまではこちらを手伝えるということね。」

「ああ。そういうこと。何かあるのかい。」

「では、偵察を。」

「すでにしているよ。大丈夫。こちらも情報が欲しいからね。君にも共有するよ。」


 シェイラは少し考える。蜘蛛達には偵察を頼もうとは思っていたが、それ以上のことを頼むことは想定していなかった。


「本体が動き出しました。速度はそこまで早くありません。ここからだと3日以内に森の近くに到着します。」

「分かった。オーブリー、ここは大丈夫だから伝令に行ってきて。」

「いや、こちらの方が。」

「違う。あなたなら人間に出会っても撃退できる。だから安心。早く行って。カツナリにはこの情報が必要なの。」

「…。わかった。シェイラも気を付けろよ。」


 オーブリーはすぐに蜘蛛糸を飛ばしながら森の方へ進んでいった。


「では、本体の動きを追いますか。」

「まさか。私たちはここで待機。本体の動きはハビエルが追っている。私たちは別動隊と兵站を監視する。」


 全員が押し黙る。シェイラにはわかっていた。このような作戦で先の戦争は負けてしまったことを。


「確かに以前は負けたけど、今回は違う。最後の作戦として、この奇襲作戦をカツナリは提案していた。だから大丈夫。」


 私はそのように言ったけど不安はあった。今までとは違い滅亡をかけている戦いであると同時に新しい指揮官での戦いだ。不安にならないほうがおかしい。でも、シェイラはカツナリの作戦がうまくいくと信じていた。

 シェイラは別動隊が動いているのを確認した。なぜか後方に陣を下げているように見える。シェイラもこの行動には困惑を覚えたが、指示を送る。


「クライドの隊と私の隊を半分に分ける。私は兵站の攻撃をするから残るけど、あとの半数は敵の別動隊を監視、追尾しておいて。攻撃はせず、行動を把握すること。あの別動隊が横やりに入れば、奇襲部隊は壊滅する。」


 敵軍の別動隊の人数は2000。兵站の護衛は1000。ただでさえ、敵軍を突破するのは難しいのに、応援が入れば簡単に逃げられなくなる。


「わかりました。では、私が率いましょう。シェイラ、ご武運をお祈りします。」

「私も。危なくなったら撤退すること。わかった。」

「はい。では、行ってきます。」


 彼らも敵軍の追尾へ向かった。しかし、彼らも存在がばれないことが前提である。早くにばれてしまうと守りを固められる可能性がある。あくまでも時期が大事になってくる。しかし、あの木を倒す動物は厄介である。できれば、あの動物を倒したいが、すぐには倒すことができない。倒そうとした瞬間にばれてしまう。


「兵站の別動隊が動き始めました。木々を倒していますが、どうしますか。」

「さすがに今の段階で攻撃できない。徐々に下がっていこう。あの動物もずっと倒せるわけではないでしょう。」


 シェイラはこの判断が間違っていたことに後で気が付くのであった。


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