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小さき蒼雷の魔法使い  作者: 柊木凪
新人冒険者編
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第五十二話「アルファス王城」

 現在ジーザスはアルファス王城へと赴いていた。

 そう、ライガたちの一件を報告するためだ。


「なんて報告するべきか……素直に連れてくるのは無理でしたって言ってもな。

仕方がないか……」


 ジーザスは独り言を呟きながら王城へと足を踏み入れた。


 王国騎士団長と言う地位にいることから王城でも比較的自由に歩くことが出来る。

 その為、王城で働く者たちも挨拶をして道を譲ってくれた。

 次いでに、王の場所を聞き、執務室に居ることが分かったジーザスは執務室へと足を向けた。

 少しすると王の側に使えているメイドに声をかけられた。


「ジーザス様、お帰りになられていたのですね。」


「ああ、少しドラン陛下にお話と言うか、相談があってな。」


「ドラン陛下でしたら、今は応接室に居られると思います。」


「応接室に?何方か面会を?」


 面会中であれば、出直す必要があるのだが……メイドの反応からどうやら、その必要は無いようだ。


「いえ、先程まで面会されていましたが、今は御一人で居られると思います。」


「そうか、なら丁度いいか。

ありがとう。では、また。」


「はい。お疲れ様です。」


 ジーザスはメイドに礼をしてその場を後にした。

 それから、数分ほど歩くと応接室が見えてきた。


「さて、なんて言われるのか……」


 ジーザスは先行き不安に思いつつも、扉を叩き返事を待った。


「ん?誰だ?入っていいぞ?」


 中の部屋からはとても一国の王だとは思えないほどだらけた声の返事が返ってきた。


「失礼します。ジーザスです。」


「おお!ジーザスか!よく戻った!」


 入ってきたのが騎士団長だと分かると一目で分かるほどに元気を取り戻し居ずまいを正した。


「休憩のところ申し訳ありません。

早めに報告したいことがありましたので、この場に参上しました。」


「ジーザス……今は誰も居らんから、楽にしろ?俺も何も言わんから。」


 ドランは再び友達に語りかけるように話しかけた。


「そう言うわけにはいきませんよ。」


 全く、ドラン陛下はもう少し王の自覚をお持ちになった方が……


「あっ!ジーザス、また、王の自覚を~とか言うなよ?

まあ、それは今は置いとこう。で?報告とは?」


 ドランの一言にドキッとしたジーザスだったが、するべき事を果たすべく今回の一件の報告を始めた。

 そして、全てを静かに聞き終えたドランは目を輝かせていた。


「やっぱり、面白そうだな……俺の誘いを断った少年か。」


「先に言っておきますよ?ドラン陛下……よくお考えください。」


「まだ、何も言っておらんだろう……」


 ジーザスは過去のドラン陛下の行動から先手を打つことにしたのだ。

 と言うのも、この国王は一国の王だと言うのに、知らぬ間に街に1人でフラッと出掛けたり、中の良い隣国の小さな武闘大会に変装して無断で登録したりなど様々な問題行動を起こしている。


 それでいて国王としては国民に慕われている。

 お年寄りに付き添いや話をしたり、街のゴミ拾いをしてみたりとしているのだ。

 その上、仕事もやるときはやるので誰も表だって怒ることが出来ないでいた。


「いえ、今までの行動から先に言わせて頂く必要があると判断しました。」


「安心しろ。変なことは言わんよ。

ただ、少年に会いに行こうとは思っとる!」


「失礼ながら申し上げます……ダメです!」


 そう、いつだって国王は突然に個人で出来そうなことなら行動に移してしまうのだ。


 それが良いところでもあるし、いけないところでもあるのだが。


「ほう。どこがダメだって?

会いに行くだけじゃないか?」


「会いに行くだけじゃないかって……少年が居るのは辺境であるルーベンスですよ?


行くのにどれだけの時間が掛かるか知ってますよね?」


「それは、勿論知ってるとも。」


「では、移動の間のお仕事はどうされるおつもりで?」


「任せる!!」


「出来るわけ無いでしょうが!!

少しはご自身の立場を考えて下さい!」


「ならば、ルーベンスまでの往復の期間の仕事が無ければ細々した物以外の問題は無いな?」


 えっ?国王のこの顔は……


「まあ、問題は他にもありますけど、大きな物は……ってそう言うのは秘書、シェリーに聞いてくださいよ。


私は騎士団長であって細かいのは知りません。」


 すまん。シェリー……後は頼んだ!

 

「そうだな、確かにそうだ。

後は、シェリーに聞くとしよう。

これからやることが増えそうだ!」


 ドランはやる気に満ちたように執務室に向かっていった。

 その様子を疲れたように見送りシェリーへと丸投げしたのだった。


「ホントにすまん……」


 ジーザスの言葉は誰も居なくなった応接室に静かに消えていった。



 そして、嵐の前触れの様に静かな執務室では1人の女性が書類の整理をしていた。


「早く帰って来ないかな……ドラン陛下。」


 シェリーの呟きが虚しく消えた、その時……突然執務室の扉が開いた!


「っ!?陛下!?」


「シェリー!

この国の辺境、ルーベンスへと行きたい。

その為のスケジュールの調整を頼む!」


「…………はい?」

皆様、柊☆黐にございます。


本日もお読み頂きありがとうございます!

良かったら、是非ブックマークとポイント評価を下さい。お願いします。


さて、次回は第五十三話「国王、ルーベンスへ」是非見てくださいね?

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