第十話「忍び寄る魔物達」
俺達は、教会の帰り道の現在...宿を探していた...
「なんで、どこも満員なんだか...」
ガイヤは愚痴をこぼす。
何かイベントがあるのか分からないが、今のところ3軒周り3軒とも満員だったので4軒目を目指していた。
「今度は部屋が空いてるといいけども。
でも、こうしていると昔の冒険者時代を思い出すわね...」
サーシャ達は冒険者時代のあれこれを思い出しながら歩いていると間もなく宿が見えてきた。
「おお、今度のはでかいな。見た目的に高級宿か?」
宿は綺麗で今までと比べると高そうな雰囲気を出していた。
しかし、悩んでいても泊まれるところが無くなってはいけないので、さっさと宿へと入ることにした。
宿に入るとまず目に写るのは酒場だった。
どうやらこの宿は酒場と併設されているらしく多くの人で賑わっていた。
そして、そのまま進むと受付があった。
「すまない。部屋は空いているか?」
「はい。ございますよ?
ですが、二人部屋と一人部屋の空きしかありませんがよろしいですか?」
「じゃあ、それで頼む。」
「それでは、何泊されますか?」
「あ~。ライガ?どうする?初めて街に着たなら少し観光でもするか?」
ガイヤはライガに楽しんで貰おうとそう提案した。
「...じゃあ、明日観光して、明後日帰るのはどうかな?」
俺は少しだけ考え、異世界の街を見てみたい気持ちが勝ったのだった。
「よし、じゃあ2泊でお願いします。」
「賜りました。3人、2泊で白銀貨2枚と銀貨5枚です。」
余談だが、この世界の通貨について解説しておこうと思う。
まず、この世界には基本的に貨幣が流通している。
しかし、国ごとに貨幣の価値が違うため気をつけて使わなくてはいけないのだ。
そして、例外として国同士の取引なんかで使われる証明のいわゆる手形みたいなものもあるが、それは、まあ機会があれば解説しよう。
話を戻すが、貨幣の種類は全部で9枚ある。
※下記に表を作ってみたのでみてね!
__________________
・光金貨= 1億ルル
・黒金貨=1000万ルル
・赤金貨= 100万ルル
・白金貨= 10万ルル
・金 貨= 1万ルル
・白銀貨= 千ルル
・銀 貨= 百ルル
・青銅貨= 十ルル
・銅 貨= 一ルル
___________________
上から順に価値が低くなる。
この貨幣は全てにおいて10枚でひとつ上の価値に上がるようになっている。
以上で解説は終ります。
「これで、いい?」
「はい。こちらが部屋の鍵となりますので無くさないようお願いします。
外出の際は受付へ返してください。
それでは、後ゆっくりしていってくださいね!」
サーシャが魔法袋の中から貨幣を渡し、部屋に関しての説明を聞き、ライガを連れて部屋へ向かった。
ガイヤは酒場へ行っていたので鍵だけ渡して放置だ。
「全く、酔いつぶれなきゃ良いけど...ライガ一緒に寝ようね?」
...はっ!?一緒に?寝るの?
いや、まあね。まだ3歳であることを考えると別にいいけど精神年齢的にアウトなんだよな...と言うわけで。
「...いや、俺は独りで...」
ライガは言いかけて止めた。
なぜなら、サーシャが足を止めてしゃがみこみライガに向かって悲しそうな目線を向けて言った。
「...ライガはまだ子供なのよ?
ついこの間も高熱で倒れて心配したんだからね?
もしも、何かあったらいけないでしょ?
だからね?
一緒に寝ましょう!」
この言葉により、ライガは独りで寝ることを諦めた。この顔は反則である...
そして、俺達は再び歩き始めた。
ライガ達は部屋に着いた。
そして、ある一点に目が止まったのだ。
それは、この世界に来て初めて見た鏡に写る自分だった。
「...あれは、鏡?じゃあ、写っているのは俺自身か...
何と言うか普通なんだな...」
ライガが鏡を見て思ったことは、普通だった。
髪は黒髪にもみえるが、藍色にも見えなくもない色だった。
目は黒目、顔は整っている方だろう。
そして、分かっていたが凄い子供体型だった。
「あら?鏡なんて見つめてどうしたの?」
ライガは内心もう少しどちらかに似ていても良いのではないかと思っていると、サーシャが何をしているのか気になったのだろう...声をかけてきた。
「...いや、この世界に来て初めて自分を見たから、その...驚いて。」
そんなライガを見て可愛いものでも見つけたように笑顔になってしまっていた。
「そっか。うふふ、どう?自分を初めて見た感想は。」
「素直に言っとくと、髪は少し気になるけど普通だと思った。」
俺は予想していたのとはだいぶ違ったことに少しだけ驚いていたが、思ったことをそのまま言った。
予想していたのとは違うと言ったが、父親のガイヤは赤髪で赤目だ。
そして、母親のサーシャは水色の髪で、碧眼だった。
俺は、どうやら日本の姿を真似たような姿になっていたらしい。
まあ、別にだからといって何かあるわけでもないが...
「そうね、私たちのどちらとも似てないものね...でもね、私たちの子供であることには変わらないから。
まあ、今日は疲れたでしょ?シャワーでも浴びてきなさい。」
「はーい。」
俺は、つくづく良い家族に恵まれたと思いながらシャワーを浴び、あれやこれやがあり
夜も更けていった...
そして、翌日。
ライガたちは食堂にいた。
「ライガとサーシャは観光でもしていてくれ。」
ガイヤは真剣な表情で言った。
「ええ。あなたはどうするの?」
「俺は、貯金を貯めるために魔物を倒しにいってくる。」
ガイヤは貨幣が心ともないのをきっかけに取り敢えず魔物の素材でも売ろうと考えた。
昨日、ギルドで魔物を売っていたことで冒険者登録をしていなくても売ることは出来ることが分かっていただけると思う。
「心配は要らないと思うけど、気をつけて。」
「ああ、取り敢えず稼いでくるとしますか。
それじゃ、先に行ってくる。
夕方くらいに戻るから...おっと忘れるところだった。
俺の魔法袋出してくれないか?」
サーシャはなにも言わずに魔法袋を渡して、ガイヤは魔物討伐へサーシャとライガは街の観光へ出かけて楽しんでいる頃...
魔境の森では異形の者達の動きが活発に成り本来ならあり得ない魔物達も姿を現していた。
そして、それを指揮している人物が5人...
魔境の森はかなり広いため入り口は全部で5つある。
そのなかの1つに5人の指揮官と強力な魔物達が集っていた。
「そろそろ準備もいいんじゃねーか?」
「そうだね。」
「ただ、足の遅いやつが奥から来れていないから今日はまだだけどね?」
「ルーベンスを制圧出来れば徐々に国中を落とすことも出来るであろう。」
「じゃあ、今日は各自準備を整えるってことでいいのね?」
5人が、5人ともに割りと自由なのが多いがルーベンスを制圧することには変わらないと確信していたのだった。
そのころ、ガイヤは冒険者ギルドにいた。
「すまない。」
「はい!依頼ですか?報告ですか?」
ガイヤは7歳から冒険者をやっていたがサーシャと出逢いライガも生まれたので一応引退し魔境の外れで家を建て暮らしていたのだ。
「いや、情報を貰いたい。
程よい魔物の出現情報があるだろうか?」
別に魔境に入って強い魔物の素材を剥ぎ取っても良いんだが、時間をかけるとあまり稼げないからな。
「あの、大変申し訳ないのですが...
程よいと言ってもこの辺りでは魔境の森に成ります。
ですが、魔境の森の立ち入りは冒険者ランクCのパーティーか、ソロだとB以上となっています。」
おかしいな?魔境の森といえども入り口付近であればランクCのソロでも余裕があるはずだが...
「失礼ですが、魔境の森で何かあったんですか?」
「現在情報が規制されていますので、詳細はお教えできませんが、少なくとも近々発表があると思います。」
「ありがとうございます。
それでは...」
参ったな...取り敢えず合流して相談だな。
「予定が狂ったな...はあ、探すか、どこにいるかな...」
どうも、皆様柊☆黐です。
今回もお読み下さりありがとうございます。
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作者のやる気に繋がります。
さて、今回は裏で暗躍しようとしている者達の影が少しだけ現れましたね。
果たして、どうなるのかは次回のお楽しみに!
では、次回第十一話「魔物の氾濫」でお会いしましょう♪